腰痛の治し方とは?薬・運動・コルセット・手術まで脊椎外科医が解説|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

〒167-0053東京都杉並区西荻南1丁目1-1 西荻南メディカルモール3階
Tel:03-3332-0777
fax:03-3332-0788
ヘッダー画像

ブログ

腰痛の治し方とは?薬・運動・コルセット・手術まで脊椎外科医が解説|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

腰痛の治し方とは?薬・運動・コルセット・手術まで脊椎外科医が解説

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、非常に多くの方が悩まされている「腰痛の治し方」についてお話ししたいと思います。

腰痛は、ほとんどの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

しかし、これだけ身近な症状でありながら、実は治療が非常に難しい病気の一つです。

病院で薬を処方されてもなかなか改善しない、マッサージに通ってもすぐに痛みが戻ってしまう、といった方も多いと思います。

私自身、これまで脊椎疾患の診療や手術に携わってきましたが、腰痛の治療は本当に難しいと感じています。

なぜなら、腰痛という一つの症状の中に、実にさまざまな原因が隠れているからです。

今回は、腰痛診療ガイドラインを参考にしながら、私自身の診療経験も交えて、腰痛に有効と考えられている治療法をわかりやすく解説していきます。

1.そもそも腰痛はなぜ起こるのか?

腰痛の原因は一つではありません。

大きく分けると、以下のようなものがあります。

・筋肉や関節などが原因の腰痛

・椎間板や背骨が原因の腰痛

・神経が圧迫されることで起こる腰痛

・骨折、感染、腫瘍などが原因の腰痛

・内臓の病気など、背骨以外が原因の腰痛

そして、実際の診療では、検査を行っても痛みの原因を一つに特定できないケースが少なくありません。

こうした腰痛は「非特異的腰痛」と呼ばれています。

ただし、原因が特定できないからといって、痛みが気のせいというわけではありません。

筋肉、関節、椎間板など、複数の組織が痛みに関与していることもあります。

また、画像検査で椎間板の変性や骨の変形が見つかっても、それが必ずしも腰痛の原因とは限りません。

MRIで異常があることと、その異常が痛みの原因であることは、必ずしも同じではないのです。

これは腰痛を診療するうえで、非常に重要なポイントだと思います。

2.腰痛には大きく3つのタイプがある

腰痛を診療する際には、まず神経症状や重篤な疾患の有無を確認することが大切です。

① 足のしびれを伴わない腰痛

腰の痛みが中心で、足のしびれや放散痛を伴わないタイプです。

筋肉、関節、椎間板などが痛みに関係していることが多く、一般的によくみられる腰痛です。

原因を明確に特定できないことも多く、治療に難渋する場合があります。

② 足のしびれや痛みを伴う腰痛

腰痛だけでなく、お尻から足にかけて痛みやしびれが出現するタイプです。

代表的な病気として、

・腰椎椎間板ヘルニア

・腰部脊柱管狭窄症

・腰椎椎間孔狭窄症

などがあります。

こうした病気では、腰の神経が圧迫されることで足の痛みやしびれが生じます。

足に力が入りにくくなることもあり、神経学的な診察やMRI検査が重要になります。

③ 重篤な病気が隠れている腰痛

頻度は高くありませんが、見逃してはいけない腰痛も存在します。

例えば、

・脊椎圧迫骨折

・脊椎の感染症

・脊椎腫瘍や転移性骨腫瘍

・馬尾症候群

・大動脈疾患などの内臓・血管の病気

などです。

特に、次のような症状には注意が必要です。

すぐに医療機関を受診してほしい症状

・尿が出にくい、尿や便を漏らしてしまう

・股の周囲の感覚が鈍くなる

・両足のしびれや筋力低下が急に進行する

・発熱を伴う強い腰痛

・転倒後から強い腰痛が続く

・安静にしていても強い痛みが続く

急激な麻痺や排尿障害、突然の激痛などがある場合は、救急受診が必要になることがあります。

単なる腰痛と思っていても、緊急の治療が必要な病気が隠れていることがあるためです。

3.急性腰痛と慢性腰痛では治療が違う

腰痛は、痛みが続いている期間によっても分類されます。

分類 痛みの持続期間
急性腰痛 4週間未満
亜急性腰痛 4週間以上、3か月未満
慢性腰痛 3か月以上

急性腰痛と慢性腰痛では、有効とされる治療法が異なります。

・急性腰痛は自然に改善することが多い

いわゆる「ぎっくり腰」などの急性腰痛は、数日から数週間で改善していくケースが多いとされています。

もちろん、痛みが強くて動けないこともありますが、必ずしも重篤な病気が隠れているわけではありません。

・一方、慢性腰痛は、筋肉や関節の問題だけでなく、運動不足、睡眠障害、ストレスなど、複数の要因が関与している

そのため、単純に痛み止めを飲むだけでは改善しないことも少なくありません。

4.腰痛は安静にした方がいいのか?

これは診療でもよく聞かれる質問です。

結論からいうと、一般的な急性腰痛では、長期間の安静よりも、可能な範囲で普段の生活を続けることが推奨されています。

以前は、ぎっくり腰になると数日間は寝ていた方がよいと考えられていました。

しかし、現在では、過度な安静によって筋力が低下したり、日常生活への復帰が遅れたりすることがわかっています。

もちろん、激痛があるのに無理して動く必要はありません。

私自身も、痛みを我慢してまで動く必要はないと思っています。

ただし、ある程度動けるのであれば、無理のない範囲で歩いたり、普段の生活を続けたりする方がよいでしょう。

重篤な病気が疑われる場合や骨折がある場合などは、当然ながら対応が異なります。

5.腰痛に効果のある薬は?

腰痛の治療で、最も一般的なのが薬物療法です。

ただし、急性腰痛と慢性腰痛では、使用する薬が異なることがあります。

① 急性腰痛に使われる薬

代表的なのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる痛み止めです。

具体的には、

・ロキソニン(ロキソプロフェン)

・ボルタレン(ジクロフェナク)

・セレコックス(セレコキシブ)

などがあります。

これらの薬は、炎症や痛みを抑える働きがあり、急性腰痛に対して一定の効果が認められています。

私も急性腰痛に対して、まずこうした薬を使用することがあります。

ただし、胃腸障害、腎機能障害、心血管系への影響などに注意が必要です。

特に高齢の方や腎機能が低下している方では、慎重な使用が必要になります。

また、筋肉の緊張が強い場合には、筋弛緩薬などを併用することもありますが、効果は限定的であり、眠気などの副作用にも注意が必要です。

② 慢性腰痛に使われる薬

慢性腰痛の場合、一般的な痛み止めだけでは十分な効果が得られないことがあります。

その際に使用を検討する薬の一つが、デュロキセチン(サインバルタ)です。

この薬は、もともと抗うつ薬として開発された薬ですが、痛みを抑える神経の働きを調整する作用があります。

慢性腰痛に対しても一定の効果が認められています。

ただし、吐き気、眠気、便秘などの副作用が出ることがあります。

また、トラマドールなどの弱オピオイド系鎮痛薬が使用されることもあります。

しかし、オピオイド系の薬には、吐き気、便秘、眠気、依存などの問題があり、現在では安易な長期使用は勧められません。

慢性腰痛では、薬だけに頼るのではなく、運動療法や生活習慣の改善を組み合わせることが重要です。

6.腰痛にコルセットは効果があるのか?

腰痛になると、コルセットを使用する方も多いと思います。

しかし、意外なことに、一般的な腰痛に対するコルセットの有効性については、十分な科学的根拠が確立されていません。

だからといって、全く意味がないというわけではありません。

私自身、急性腰痛で動く際にコルセットを使用することで、痛みが軽減する患者さんを経験しています。

そのため、痛みが強い時期に一時的に使用することは、選択肢の一つだと思います。

ただし、コルセットを装着していれば腰痛が根本的に治るというわけではありません。

また、必要以上に長期間使用し続けることは、基本的には勧められません。

骨折などで固定が必要な場合は別ですので、病気に応じて判断する必要があります。

7.腰痛には運動療法が効果的

慢性腰痛の治療で、特に重要なのが運動療法です。

腰痛診療ガイドラインでも、慢性腰痛に対する運動療法は推奨されています。

運動によって筋力や柔軟性が改善し、痛みの軽減や日常生活動作の改善が期待できます。

具体的には、

・ウォーキング

・水中ウォーキング

・水泳

・軽い筋力トレーニング

・体幹トレーニング

・ストレッチ

などが考えられます。

ただし、どの運動が最も優れているかについては、明確な結論が出ていません。

大切なのは、自分に合った運動を、無理なく継続することだと思います。

いきなり激しい筋トレを始める必要はありません。

普段あまり運動していない方であれば、短時間のウォーキングから始めるだけでもよいでしょう。

一方、ぎっくり腰などの急性期には、痛みを我慢してまでストレッチや筋トレを行う必要はありません。

8.マッサージや整体、鍼治療は効果があるのか?

腰痛に対して、マッサージや整体、鍼治療などを受けている方も多いと思います。

これらの治療についても、さまざまな研究が行われています。

・マッサージ

慢性腰痛に対して、短期的な痛みの軽減が期待できる場合があります。

ただし、効果が長期間持続するとは限りません。

・鍼治療

慢性腰痛に対して、一定の症状改善が認められる研究があります。

ただし、研究によって結果に差があり、効果の大きさや持続性には限界があります。

・整体・徒手療法

手を使って筋肉や関節に働きかける治療です。

一部の徒手療法には腰痛を軽減する可能性がありますが、効果は限定的であり、運動療法などと組み合わせて考えるのが一般的です。

私自身、こうした治療をすべて否定するつもりはありません。

実際に、施術によって痛みが軽減する方もいらっしゃると思います。

ただし、医学的な根拠が乏しい治療法も数多く存在します。

特に、高額な施術を長期間続けることについては、慎重に考えた方がよいでしょう。

また、骨折や神経障害などが疑われる場合には、施術よりも先に医療機関での診察が必要です。

9.腰痛にブロック注射は効果があるのか?

ブロック注射とは、痛みの原因と考えられる部位や神経の周囲に、局所麻酔薬などを注入する治療です。

代表的なものとして、

・硬膜外ブロック

・神経根ブロック

・椎間関節ブロック

などがあります。

特に、椎間板ヘルニアなどによる足の痛み、いわゆる坐骨神経痛に対して、短期的な症状改善が期待できる場合があります。

一方、足のしびれなどを伴わない一般的な腰痛に対しては、すべてのブロック注射が有効というわけではありません。

また、ブロック注射は痛みを軽減する治療であり、必ずしも原因そのものを治す治療ではありません。

感染、出血、神経損傷などのリスクもあるため、適応を慎重に判断する必要があります。

10.腰痛は手術で治るのか?

これも非常に重要な問題です。

私自身、これまで脊椎手術に携わってきましたが、腰痛に対する手術適応は慎重に判断する必要があると考えています。

例えば、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症によって神経が圧迫され、足の痛みやしびれ、筋力低下などが出現している場合には、手術が有効となることがあります。

しかし、腰の痛みだけを理由に手術を行っても、必ずしも症状が改善するとは限りません。

椎間板の変性や腰椎の不安定性などが原因と考えられる場合には、脊椎固定術などが検討されることもあります。

ただし、慢性腰痛に対する固定術は、適切な保存的治療と比較して明確な優位性が認められない研究もあります。

また、MRIで椎間板が傷んでいるからといって、それだけで手術適応になるわけではありません。

手術には感染、神経損傷、隣接する椎間への負担など、さまざまなリスクもあります。

そのため、画像検査の結果だけでなく、症状、神経学的所見、これまでの治療経過などを総合的に判断する必要があります。

もちろん、進行する麻痺や馬尾症候群などでは、早急な手術が必要になることもあります。

11.腰痛が長引く原因はストレスや生活習慣にもある?

腰痛というと、筋肉や骨の問題だけを想像する方が多いと思います。

しかし、慢性腰痛には、心理的・社会的な要因が関与していることもわかっています。

例えば、

・運動不足

・睡眠不足

・肥満

・喫煙

・仕事や家庭でのストレス

・痛みに対する強い不安

などです。

特に慢性腰痛では、痛みが長期間続くことで、神経系が痛みに敏感になることがあります。

このような状態では、組織の損傷の程度と、実際に感じる痛みの強さが一致しないこともあります。

ただし、ストレスが関係しているからといって、痛みが精神的なものだけで生じているという意味ではありません。

痛みは実際に存在しており、身体的な問題と心理社会的な問題の両方を考慮することが重要です。

12.腰痛が続く場合、MRI検査は必要?

腰痛が続いていると、MRIを撮った方がよいのではないかと考える方も多いと思います。

MRIは、椎間板、神経、脊柱管、骨髄などを詳しく調べることができる検査です。

特に、

・足のしびれや筋力低下がある

・椎間板ヘルニアが疑われる

・脊柱管狭窄症が疑われる

・感染症や腫瘍などが疑われる

・保存的治療を行っても改善せず、治療方針の判断に画像が必要

といった場合には、有用です。

ただし、一般的な急性腰痛で、神経症状や危険な兆候がない場合には、必ずしも最初からMRI検査が必要なわけではありません。

また、MRIで異常が見つからない腰痛も少なくありません。

反対に、MRIで椎間板の変性や突出が見つかっても、症状のない方にも同じような所見が認められることがあります。

重要なのは、MRIの画像だけで診断するのではなく、症状や診察所見と照らし合わせて判断することです。

13.結局、腰痛にはどの治療がよいのか?

ここまでさまざまな治療法について説明してきましたが、最後に整理してみます。

急性腰痛の場合

・危険な病気が隠れていないか確認する

・痛みに応じて、無理のない範囲で活動する

・必要に応じて消炎鎮痛薬を使用する

・痛みが強い時期には、コルセットを一時的に使用することもある

・長期間の安静は避ける

慢性腰痛の場合

・運動療法を継続する

・生活習慣や睡眠を見直す

・必要に応じて薬物療法を組み合わせる

・心理社会的な要因にも目を向ける

・症状に応じて専門的な検査や治療を検討する

足のしびれや痛みを伴う場合

・神経症状を詳しく診察する

・必要に応じてMRI検査を行う

・椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などを評価する

・病状に応じて薬物療法、ブロック注射、手術などを検討する

腰痛は、全員に同じ治療を行えば改善するというものではありません。

原因や症状に応じて、治療を選択することが大切です。

最後に

今回は、腰痛の治し方について、ガイドラインを参考にしながら解説しました。

腰痛は非常にありふれた症状ですが、実際には原因が多岐にわたり、治療が難しい病気の一つです。

私自身、これまで数多くの脊椎疾患を診療してきましたが、腰痛に対して万能な治療法は存在しないと感じています。

大切なのは、まず腰痛の原因をできる限り見極め、その方に合った治療を行うことです。

また、薬や注射だけでなく、運動療法や生活習慣の改善が重要になることも少なくありません。

当院では、腰痛だけでなく、足のしびれや痛みなど、脊椎・神経に関連する症状についても診療を行っています。

必要に応じてMRIやCTなどの画像検査を行い、症状の原因を詳しく調べることも可能です。

腰痛が長引いている方や、足のしびれなどを伴う方は、お気軽にご相談ください。