手足のしびれを伴う頭痛とは?知覚障害を伴う片頭痛と脳梗塞の違い|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

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手足のしびれを伴う頭痛とは?知覚障害を伴う片頭痛と脳梗塞の違い|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

手足のしびれを伴う頭痛とは?知覚障害を伴う片頭痛と脳梗塞の違い

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、手足のしびれを伴う頭痛、特に知覚障害を伴う片頭痛についてお話しします。

頭痛が起こる前や頭痛の最中に、手や腕、顔などがしびれることがあります。

こうした症状が出ると、脳梗塞ではないかと心配される方も多いと思います。

実際に、片頭痛では頭痛に伴って一時的なしびれが起こることがあり、これを『感覚性前兆(知覚性前兆)』と呼びます。

ただし、手足のしびれは脳梗塞などでも起こるため、注意が必要です。

1.片頭痛で手足がしびれることはある?

片頭痛には、頭痛が起こる前などに、一時的な神経症状が現れるタイプがあります。

これを「前兆のある片頭痛」と呼びます。

片頭痛の前兆として最もよく知られているのは、目の前にギザギザした光が見えたり、視野の一部が見えにくくなったりする「閃輝暗点」です。

しかし、前兆は視覚症状だけではありません。

手や腕、顔などにしびれが起こることもあります。

このような症状を感覚性前兆といいます。

感覚性前兆は、片頭痛に伴う一時的な神経症状の一つです。

2.片頭痛によるしびれには特徴があります

感覚性前兆では、しびれが突然広い範囲に現れるというより、数分かけて徐々に広がっていくことがあります。

例えば、

・最初に片方の手の指先がピリピリする

・しびれが手から腕へと広がる

・その後、口の周囲や顔にもしびれが現れる

・しびれが治まったあとに頭痛が始まる

といった経過です。

このように、しびれの場所が時間とともに移動するように感じられることが特徴の一つです。

また、ピリピリ、チクチクとした異常感覚だけでなく、触った感覚が鈍くなることもあります。

症状は通常5〜60分程度で治まり、完全に回復します。

ただし、必ずしもこのような典型的な経過をたどるとは限りません。

3.なぜ片頭痛でしびれが起こるの?

やや専門的な話になりますが、片頭痛の前兆には、皮質拡延性脱分極(CSD:Cortical Spreading Depolarization)という現象が関係していると考えられています。

これは、脳の神経細胞やグリア細胞の電気的な活動が一時的に大きく変化し、その変化が脳の表面をゆっくりと広がっていく現象です。

この現象が、脳の感覚をつかさどる領域に関係すると、しびれなどの感覚性前兆が起こると考えられています。

また、視覚に関係する領域では、閃輝暗点などの視覚性前兆が起こります。

感覚性前兆では、こうした脳の活動の変化が徐々に広がるため、しびれも数分かけて移動するように感じられると考えられています。

なお、これは一般的な感覚性前兆の仕組みを説明するものであり、すべてのしびれがこの現象によって起こるわけではありません。

要するに、脳の一部で起こった一時的な活動の変化が、波のようにゆっくりと周囲に広がることで、しびれや視覚の異常が起こると考えられています。

そのため、しびれが突然広い範囲に出るのではなく、指先から腕、顔へと徐々に広がっていくような症状が現れることがあるのです。

4.しびれが治まってから頭痛が起こることもあります

感覚性前兆は、頭痛が始まる前に起こることが多いですが、頭痛と同時に現れることもあります。

また、前兆があっても、その後に頭痛が起こらない場合もあります。

頭痛が起こる場合には、片側または両側のズキズキする痛み、吐き気、光や音への過敏など、一般的な片頭痛の症状を伴うことがあります。

なお、前兆のある片頭痛でも、毎回必ず前兆が起こるわけではありません。

同じ患者さんでも、前兆のある発作と前兆のない発作が混在することがあります。

5.脳梗塞によるしびれとの違いは?

ここは非常に重要なところです。

片頭痛による感覚性前兆と、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)によるしびれは、症状が似ていることがあります。

一般的には、次のような違いが参考になります。

片頭痛の感覚性前兆 脳梗塞・TIA
症状の始まり方 数分かけて徐々に広がることが多い 突然起こることが多い
しびれの特徴 ピリピリ感が広がることがある 感覚が鈍くなることが多い
持続時間 個々の症状は通常5〜60分 数分で治ることも、持続することもある
頭痛 前兆の前後や最中に起こることがある 頭痛を伴わない場合も多い

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。

症状の経過だけで、片頭痛と脳梗塞を確実に区別することはできません。

特に、初めて片側の手足や顔にしびれが起こった場合には、片頭痛と決めつけないことが大切です。

また、しびれとともに手足の力が入らない、言葉が出ない、ろれつが回らないなどの症状がある場合には、脳梗塞などを疑う必要があります。

突然こうした症状が出た場合は、頭痛の有無にかかわらず、症状が治まっても救急受診が必要です。

6.MRI検査は必要?

手足のしびれを伴う頭痛では、症状や経過によってMRI検査を検討します。

特に、

・初めて手足のしびれを伴う頭痛が起こった

・これまでの片頭痛とは症状が異なる

・片側の手足や顔に突然しびれが起こった

・しびれが長時間続いている

・しびれ以外の神経症状も伴う

といった場合には、脳梗塞などの病気を除外することが重要です。

MRIでは、脳梗塞をはじめとする脳の異常がないか確認します。必要に応じてMRAで脳血管の状態も調べます。

ただし、発症直後の脳梗塞ではMRIでも異常が明らかにならない場合があります。

また、TIAでは症状が改善し、MRIでも異常が確認できないことがあります。

そのため、画像検査だけでなく、症状の経過や神経学的所見などを総合して判断する必要があります。

突然の片麻痺や感覚障害、言語障害などが起こった場合は、通常の外来予約を待たず、救急車を要請してください。

7.感覚性前兆を伴う片頭痛の治療

感覚性前兆を伴う片頭痛でも、基本的な治療は一般的な片頭痛と共通しています。

頭痛発作に対しては、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、トリプタン系薬剤、ラスミジタン、ゲパント系薬剤などを、症状や患者さんの状態に応じて使用します。

ただし、トリプタン系薬剤は脳梗塞やTIAの既往がある方などでは使用できません。

また、トリプタン系薬剤は通常、前兆の最中ではなく、頭痛が始まってから使用します。

前兆そのものをすぐに止める確立した治療はありません。

頭痛の頻度が多い場合や日常生活への影響が大きい場合には、予防治療も検討します。

予防薬としては、

・プロプラノロール(インデラル)、

・バルプロ酸(デパケン、セレニカ)、

・ロメリジン(ミグシス)、

・CGRP関連薬(エムガルディ、アジョビ、アイモビーグ、ナルティークなど)

などが選択肢となります。

薬剤の選択では、頭痛の頻度や重症度、持病、妊娠の可能性なども考慮します。

また、前兆のある片頭痛では、喫煙やエストロゲンを含む一部の避妊薬などについても注意が必要です。

8.まとめ

片頭痛では、頭痛の前や頭痛の最中に、手足や顔のしびれが起こることがあります。

特に、片方の手から腕、顔へと数分かけてしびれが広がる場合には、感覚性前兆を伴う片頭痛が考えられます。

しかし、手足のしびれは脳梗塞やTIAなどでも起こるため、注意が必要です。

特に初めてしびれが起こった場合や、いつもと異なる症状がある場合には、片頭痛と自己判断しないことが重要です。

当院では、頭痛やしびれの症状を詳しく確認し、必要に応じてMRIなどの画像検査を行っています。

頭痛に伴ってしびれを繰り返す方や、片頭痛の症状が変化してきた方は、一度ご相談ください。