肩こり・首こりで頭痛がする?緊張型頭痛の原因と治し方
- 2026年10月19日
- 頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、肩こりや首こり、精神的な緊張などと関係する「緊張型頭痛」についてお話しします。
「肩がこると頭まで痛くなる」
「首の後ろから後頭部にかけて重苦しい」
「仕事で疲れたり、ストレスがたまったりすると頭痛がする」
このような症状で受診される方は少なくありません。
一般的には「肩こり頭痛」「首こり頭痛」などと呼ばれることもありますが、その原因の一つとして緊張型頭痛が考えられます。
ただし、肩こりや首こりがあるからといって、必ずしも緊張型頭痛とは限りません。
実際には、片頭痛でも首や肩のこりを伴うことがあります。
今回は、緊張型頭痛の特徴や原因、片頭痛との違い、治療法について解説します。
緊張型頭痛とは?どんな症状が出る?

緊張型頭痛は、片頭痛と並んで非常に多くみられる頭痛です。
一般的には、次のような特徴があります。
・頭全体が締め付けられるように痛む
・後頭部から首にかけて重苦しい
・ズキズキというより、圧迫されるような痛み
・頭の両側に痛みが出ることが多い
・首や肩のこりを伴うことがある
・歩いたり階段を上ったりしても、頭痛が悪化しにくい
痛みの程度は軽度から中等度のことが多く、片頭痛と比べると日常生活を続けられる場合も少なくありません。
ただし、頭痛が長時間続いたり、毎日のように繰り返したりすることもあります。
そのため、痛みがそれほど強くなくても、仕事や日常生活に支障が出る場合があります。
緊張型頭痛の原因は?肩こり・首こりだけではありません
緊張型頭痛には、いくつかの要因が関係していると考えられています。
① 首や肩の筋肉の緊張

首や肩の筋肉の緊張は、緊張型頭痛に関係する要因の一つです。
例えば、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用などで同じ姿勢を続けていると、首や肩の筋肉に負担がかかります。
こうした筋肉の緊張や痛みが、頭痛と関係する場合があります。
ただし、筋肉が硬くなっていることだけで、緊張型頭痛のすべてを説明できるわけではありません。
② 精神的な緊張やストレス

緊張型頭痛には、精神的な緊張やストレスも関係することがあります。
例えば、
・仕事で強い緊張が続いている
・人間関係などでストレスを感じている
・不安や心配事が多い
・十分な休息が取れていない
このような状態では、無意識のうちに首や肩に力が入ったり、睡眠の質が低下したりすることがあります。
また、精神的なストレスは、脳が痛みを感じたり調整したりする仕組みにも影響すると考えられています。
そのため、体の緊張だけでなく、精神的な緊張も頭痛に関係する場合があります。
ただし、ここで誤解していただきたくないのは、緊張型頭痛は精神的な問題だけで起こる頭痛ではないということです。
ストレスが特にない方でも緊張型頭痛は起こりますし、ストレスがあるからといって、頭痛が気のせいというわけでもありません。
③ 痛みを感じる神経が過敏になっている

特に慢性的な緊張型頭痛では、痛みを感じる神経の働きが過敏になっていることがあります。
少し専門的な話になりますが、これを「中枢性感作」といいます。
簡単にいえば、脳や神経が痛みに敏感になり、通常よりも痛みを強く感じやすくなっている状態です。
このような場合には、肩や首の筋肉をほぐすだけでは十分に改善しないこともあります。
緊張型頭痛は、筋肉の問題だけでなく、精神的な緊張や睡眠、神経の働きなど、複数の要因が関係する頭痛と考えられています。
肩こりがあっても片頭痛のことがあります
ここは特に知っておいていただきたい点です。
肩こりや首こりを伴う頭痛というと、緊張型頭痛をイメージする方が多いと思います。
しかし、片頭痛でも首や肩のこりを伴うことは珍しくありません。
実際の診療でも、長年「肩こりからくる頭痛」だと思っていた方が、症状を詳しく確認すると片頭痛だったということがあります。
緊張型頭痛と片頭痛には、一般的に次のような違いがあります。
| 特徴 | 緊張型頭痛 | 片頭痛 |
|---|---|---|
| 痛みの性質 | 締め付けられる、重い | ズキズキすることが多い |
| 痛む場所 | 両側が多い | 片側または両側 |
| 痛みの程度 | 軽度〜中等度が多い | 中等度〜重度が多い |
| 体を動かすと | 悪化しにくい | 悪化しやすい |
| 吐き気 | 通常は伴わない | 伴うことがある |
| 光や音への過敏 | 両方同時には通常伴わない | 比較的多い |
ただし、これらはあくまで典型的な特徴です。
片頭痛でも締め付けられるような痛みが出ることがありますし、緊張型頭痛と片頭痛の両方を持っている方もいます。
そのため、「肩がこるから緊張型頭痛」「ズキズキしないから片頭痛ではない」と判断することはできません。
頭痛の診断では、痛みの場所だけでなく、持続時間、頻度、吐き気の有無、日常動作による悪化などを総合的に確認することが重要です。
なお、片頭痛でも後頭部や首の付け根が痛くなる理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。
首の病気が原因で頭痛が起こることもあります

首の痛みと頭痛が同時に起こる場合、緊張型頭痛や片頭痛以外に、頚椎などの病気が関係していることもあります。
例えば、頚椎やその周囲の組織に問題があり、それによって頭痛が起こる場合があります。
このような頭痛は「頚原性頭痛」と呼ばれます。
首を動かすと頭痛が強くなったり、首の動きが制限されていたりする場合には、頚原性頭痛を考えることがあります。
また、後頭部の神経が刺激されることで、後頭部に鋭い痛みが出る「後頭神経痛」という病気もあります。
後頭神経痛では、ピリッ、ビリッと電気が走るような痛みを繰り返すことがあります。
ただし、首のMRIで椎間板の変性やヘルニアが見つかったからといって、それが必ず頭痛の原因とは限りません。
画像所見だけでなく、症状や診察所見を合わせて判断することが重要です。
後頭神経痛と片頭痛の違いについては、こちらの記事も参考にしてください。
緊張型頭痛が毎日続くこともある?

緊張型頭痛には、時々起こるタイプと、慢性的に続くタイプがあります。
特に、月に15日以上の頭痛が3か月を超えて続く場合には、慢性緊張型頭痛が考えられます。
慢性緊張型頭痛では、ほぼ毎日のように頭痛が続くこともあります。
このような場合、痛み止めを飲むだけでは十分に改善しないことがあります。
また、頭痛が頻繁に起こるために鎮痛薬を繰り返し使用していると、薬剤の使用過多による頭痛が加わっている場合もあります。
ただし、毎日頭痛があるからといって、すべて慢性緊張型頭痛というわけではありません。
慢性片頭痛など、他の頭痛との区別も重要です。
肩こり・首こりによる頭痛の治し方は?
緊張型頭痛の治療では、頭痛の頻度や程度、生活への影響などを確認しながら、治療方法を考えていきます。
① 長時間同じ姿勢を続けない

デスクワークやスマートフォンの使用などで、長時間同じ姿勢を続けている方は少なくありません。
首や肩の筋肉への負担を減らすためには、適度に休憩を取り、軽く体を動かすことが大切です。
また、机や椅子、パソコンの画面の高さなどを見直すことも役立ちます。
ただし、無理に首を強く回したり、痛みを我慢してストレッチをしたりする必要はありません。
② 適度な運動やストレッチを行う

ウォーキングなどの適度な運動や、首・肩周囲の筋肉を無理のない範囲で動かすことが、頭痛の改善に役立つ場合があります。
また、筋肉の緊張が強い場合には、温めることで症状が楽になる方もいます。
ただし、こうした方法だけで、すべての緊張型頭痛が改善するわけではありません。
特に頭痛が慢性化している場合には、他の治療を組み合わせる必要があることもあります。
③ 精神的な緊張を和らげる

精神的なストレスが頭痛に関係している場合には、心身の緊張を和らげることも大切です。
例えば、十分な休息や睡眠を取ること、適度に体を動かすこと、リラックスできる時間を確保することなどが役立つ場合があります。
また、慢性的な頭痛では、リラクゼーション法や認知行動療法などが治療の選択肢になることもあります。
もちろん、仕事や家庭のストレスを簡単になくすことはできません。
そのため、無理にストレスをなくそうとするのではなく、自分に合った方法で、心身の緊張を少しでも減らしていくことが大切だと思います。
④ 痛み止めを使用する

頭痛がつらい場合には、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの鎮痛薬を使用することがあります。
ただし、鎮痛薬は頭痛が起こったときの痛みを和らげる薬であり、頭痛そのものを起こりにくくする薬ではありません。
また、頻繁に使用すると、薬剤の使用過多による頭痛につながることがあります。
⑤ 筋弛緩薬やノイロトロピン、漢方薬などを組み合わせる

慢性の緊張型頭痛の薬物治療では、痛み止め以外の薬を使用することもあります。
当院では、首や肩の筋肉の緊張が強い方には、まず筋弛緩薬などを検討することがあります。
代表的な薬には、エペリゾン(ミオナール)やチザニジン(テルネリン)などがあります。
これらは筋肉の緊張を和らげる作用があり、首や肩のこりを伴う頭痛に対して使用することがあります。
また、症状によっては、ノイロトロピンという薬や漢方薬を組み合わせることもあります。
ノイロトロピンは、慢性的な痛みに対して使用されることがある薬です。緊張型頭痛への効果が十分に確立されているわけではありませんが、首や肩の痛みなどを伴う場合には、症状に応じて検討することがあります。
漢方薬についても、患者さんの症状や体質などを考慮して使用する場合があります。
例えば、葛根湯、五苓散、釣藤散などが選択肢になることがあります。
当院では、こうした薬を必要に応じて組み合わせながら、できるだけ頭痛を軽減できるように治療を考えています。
もちろん、薬の種類を増やせばよいというわけではありません。効果や副作用を確認しながら、必要な薬を選択することが重要です。
⑥ 慢性的な頭痛では抗うつ薬を検討することもあります

頭痛が頻繁に起こる場合や、慢性緊張型頭痛では、予防薬を検討することがあります。
代表的な薬の一つが、アミトリプチリン(トリプタノール)という抗うつ薬です。
抗うつ薬と聞くと意外に思われるかもしれませんが、アミトリプチリンには痛みを抑える作用があり、慢性緊張型頭痛に対する予防効果が認められています。
うつ病ではない方にも、頭痛の予防を目的として使用されることがあります。
ただし、眠気や口の渇き、便秘などの副作用があるため、すべての方に適しているわけではありません。
当院では、抗うつ薬を最初から積極的に使用することは多くありません。
まずは頭痛の特徴や首・肩の筋肉の状態、生活習慣などを確認し、筋弛緩薬やその他の薬剤も含めて治療を検討します。
そのうえで、頭痛が慢性化している場合や、十分な改善が得られない場合などには、アミトリプチリンも選択肢の一つとして考えています。
なお、慢性緊張型頭痛に対する予防効果の医学的根拠は、筋弛緩薬などよりもアミトリプチリンの方が充実しています。そのため、頭痛の頻度や生活への影響が大きい場合には、早い段階から予防薬を検討することもあります。
抗うつ薬が頭痛に効く理由や注意点については、別の記事でも詳しく解説しています。
→「頭痛に抗うつ薬が効く?うつ病ではなくても処方される理由と注意点」
痛み止めを飲む日が増えてきた場合には、漫然と使用を続けるのではなく、治療方針を見直すことが重要です。
頭痛薬の使い方については、こちらの記事でも解説しています。
緊張型頭痛にMRI検査は必要?

典型的な緊張型頭痛で、診察でも特に問題が認められない場合には、必ずしもMRI検査が必要というわけではありません。
緊張型頭痛そのものは、通常、MRIで異常が見つかる病気ではないためです。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
・突然、これまでに経験したことのない激しい頭痛が起こった
・頭痛が徐々に強くなっている
・以前とは頭痛の性質が変わってきた
・手足の麻痺やしびれ、言葉の出にくさなどを伴う
・発熱や意識障害などを伴う
・新しく頭痛が出現し、脳の病気が疑われる
このような場合には、緊張型頭痛以外の病気を考える必要があります。
特に、突然の激しい頭痛や麻痺、意識障害などがある場合には、救急での対応が必要です。
頭痛の診療で重要なのは、緊張型頭痛かどうかを判断することだけでなく、脳の病気による頭痛を見逃さないことです。
当院では、症状や診察所見を確認し、必要に応じてMRIやCT検査を行っています。
MRI検査が必要になる頭痛については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
肩こりや首こりを伴う頭痛は、日常診療でもよくみられます。
その原因として緊張型頭痛が考えられますが、片頭痛や頸原性頭痛、後頭神経痛など、他の病気が関係している場合もあります。
また、緊張型頭痛は、単に筋肉が硬くなっているだけの病気ではありません。
首や肩の筋肉の緊張だけでなく、精神的な緊張やストレス、睡眠、痛みを感じる神経の働きなど、さまざまな要因が関係しています。
治療では、生活習慣の見直しや適度な運動、必要に応じた薬物療法などを組み合わせていきます。
特に、頭痛が毎日のように続いている場合には、単に痛み止めを飲み続けるのではなく、一度頭痛の種類や治療方針を見直すことが大切です。
肩こりや首こりに伴う頭痛が続いている方、これまでの治療で十分な改善が得られていない方は、当院へご相談ください。