目の充血や涙を伴う頭痛とは?群発頭痛など4つの病気を解説
- 2023年4月14日
- 頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、目の充血や涙を伴う頭痛についてお話しします。
頭痛が起こると同時に、片方の目が赤くなったり、涙が出たり、鼻水や鼻づまりが起こることがあります。
こうした症状がある場合、『三叉神経・自律神経性頭痛(TACs:タックス)』というタイプの頭痛が考えられます。
あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、一般的な片頭痛とは異なる特徴があり、治療方法も違います。
今回は、その代表的な4つのタイプについて解説したいと思います。
1.三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)とは?

三叉神経・自律神経性頭痛とは、主に頭や顔の片側に痛みが起こり、同じ側の目や鼻にさまざまな症状を伴う頭痛の総称です。
具体的には、次のような症状がみられます。
・片方の目が充血する
・涙が出る
・鼻水や鼻づまりが起こる
・まぶたが腫れる
・まぶたが下がる
・額や顔に汗をかく
こうした症状は、頭痛に伴って自律神経が働くことで起こると考えられています。
特に特徴的なのは、頭痛と目や鼻の症状が同じ側に現れることです。
ただし、片頭痛でも涙や鼻づまりなどが起こることがあるため、これらの症状だけで診断できるわけではありません。
2.三叉神経・自律神経性頭痛の4つのタイプ
三叉神経・自律神経性頭痛には、大きく分けて4つのタイプがあります。
それぞれ痛みの持続時間や発作の回数、治療方法が異なります。
① 群発頭痛(ぐんぱつずつう)

群発頭痛は、非常に強い痛みが起こる頭痛です。
片方の目の奥やこめかみに、目をえぐられるような激しい痛みが出現します。
痛みは通常15分〜3時間程度続き、1日に何度も起こることがあります。
また、数週間から数か月にわたって発作が集中し、その後は長期間、頭痛が起こらなくなることもあります。
特徴的なのは、痛みが非常に強いため、じっと横になっていられず、歩き回ったり落ち着かなくなったりすることです。
片頭痛では暗い部屋で静かに横になりたくなる方が多いため、この点は大きな違いといえます。
群発頭痛は男性に多い傾向がありますが、女性にも起こります。
また、群発期の飲酒は頭痛発作を誘発することがあるため、注意が必要です。
群発頭痛の治療
群発頭痛では、発作が起きたときの治療と、発作を予防する治療を組み合わせます。
発作時には、スマトリプタン(イミグラン)の皮下注射や、高流量の純酸素吸入が有効です。
酸素療法では、一般的に毎分12〜15L程度の100%酸素を、専用のマスクを使って吸入します。
予防薬としては、ベラパミル(ワソラン)が代表的です。ただし、不整脈などの副作用に注意が必要で、心電図による確認を行いながら使用します。
また、必要に応じてステロイド薬を短期間使用することもあります。
当院では、症状や頭痛の経過に応じて、片頭痛に用いられる治療薬を組み合わせることもあります。
群発頭痛は非常につらい頭痛ですが、適切な治療によって発作を軽減できる可能性があります。
② SUNCT(サンクト)・SUNA(スナ)

SUNCTとSUNAは、非常に短い時間の頭痛発作を繰り返す病気です。
片方の目の周囲やこめかみに、電気が走るような鋭い痛みや、刺されるような痛みが起こります。
痛みの持続時間は1秒〜10分程度と短いことが特徴です。
しかし、発作が1日に何度も起こり、場合によっては数十回以上繰り返すこともあります。
SUNCTでは、頭痛と同じ側の目の充血と流涙の両方を伴います。
一方、SUNAでは充血と流涙の両方がそろうわけではなく、鼻づまりやまぶたの腫れなど、ほかの自律神経症状を伴うこともあります。
また、三叉神経痛と症状が似ているため、鑑別が必要になることがあります。
SUNCT・SUNAの治療
これらの頭痛には、一般的な鎮痛薬が効きにくいことがあります。
予防治療としては、ラモトリギンなどの抗てんかん薬が使用されます。
ほかにも、トピラマートやガバペンチンなどの抗てんかん薬も検討されることがあります。
重症例では、専門施設で点滴治療などを行う場合もあります。
③ 発作性片側頭痛

発作性片側頭痛は、片方の目の周囲やこめかみに、強い痛みが繰り返し起こる病気です。
痛みは通常2〜30分程度続き、1日に5回を超える頻度で発作が起こることが多いのが特徴です。
群発頭痛と同じように、目の充血、涙、鼻づまり、鼻水などを伴うことがあります。
群発頭痛よりも1回の発作が短く、発作の回数が多い傾向があります。
発作性片側頭痛の治療
この頭痛の大きな特徴は、インドメタシンという薬が非常によく効くことです。
診断基準上も、適切な用量のインドメタシンによって頭痛が完全に消失することが重要な特徴とされています。
ただし、インドメタシンには胃腸障害や腎機能への影響などの副作用があるため、医師の管理のもとで使用する必要があります。
④ 持続性片側頭痛

持続性片側頭痛は、その名前のとおり、頭の片側に痛みが持続する病気です。
これまで説明した3つの頭痛とは異なり、頭痛が1日中続き、それが3か月以上持続することが特徴です。
普段から頭痛が続いているものの、時々痛みが強くなり、その際に目の充血や涙、鼻づまりなどを伴うことがあります。
また、片頭痛のように光や音に敏感になったり、吐き気を伴ったりする場合もあります。
そのため、慢性片頭痛などと区別が難しいことがあります。
持続性片側頭痛の治療
発作性片側頭痛と同じく、インドメタシンが特徴的に有効です。
診断においても、適切な用量のインドメタシンで痛みが完全に消失することが重要です。
ただし、長期間の内服が必要になる場合もあり、副作用への注意が必要です。
3.四つの頭痛はどう見分けるの?
これらの頭痛を見分けるうえで、特に重要なのが1回の頭痛がどのくらい続くか、1日に何回起こるかという点です。
大まかな違いをまとめると、次のようになります。

| 頭痛の種類 | 痛みの持続時間 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 群発頭痛 | 15分〜3時間 | 非常に激しい痛みが一定期間に集中する |
| SUNCT・SUNA | 1秒〜10分 | 短い痛みを何度も繰り返す |
| 発作性片側頭痛 | 2〜30分 | 1日に何度も起こり、インドメタシンが著効する |
| 持続性片側頭痛 | 3か月以上持続 | 片側の頭痛が持続し、時々強くなる |
もちろん、実際には症状が重なることもあり、持続時間だけで診断できるわけではありません。
診察では、痛みの場所や強さ、発作の回数、目や鼻の症状、薬への反応などを総合的に確認します。
4.目の充血や涙を伴う頭痛は、脳や目の病気にも注意が必要です

ここで、もう一つ重要なことがあります。
目の充血や涙を伴う頭痛が、必ずしも三叉神経・自律神経性頭痛とは限らないという点です。
例えば、急性緑内障発作では、目の強い痛みや充血に加え、頭痛や吐き気、視力低下などが起こることがあります。
この場合は、早急な眼科での治療が必要です。
また、頻度は高くありませんが、脳や下垂体周辺の病変などによって、三叉神経・自律神経性頭痛に似た症状が起こることもあります。
そのため、初めてこのような頭痛が起こった場合や、これまでと症状が変わった場合などには、必要に応じてMRIなどの画像検査を検討します。
特に、突然の激しい頭痛、視力低下、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合には、速やかな救急受診が必要です。
5.片頭痛の治療で改善しない場合には

三叉神経・自律神経性頭痛は、片頭痛と症状が似ていることがあります。
しかし、治療方法は必ずしも同じではありません。
特に、群発頭痛では酸素療法やスマトリプタンの皮下注射が有効であり、発作性片側頭痛や持続性片側頭痛ではインドメタシンが特徴的な効果を示します。
そのため、片頭痛として治療を受けていても十分な改善がみられない場合には、別のタイプの頭痛が隠れていないか検討することも大切です。
まとめ
目の充血や涙を伴う頭痛には、群発頭痛、SUNCT・SUNA、発作性片側頭痛、持続性片側頭痛などがあります。
これらは比較的まれな頭痛ですが、痛みが非常に強かったり、何度も繰り返したりするため、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
また、頭痛の種類によって有効な治療が異なるため、正確な診断が重要です。
当院では、頭痛の症状や経過を詳しく確認し、必要に応じてMRIやCTによる検査を行っています。
片側の目の奥に強い痛みが起こる方、頭痛とともに目の充血や涙が出る方、これまでの頭痛治療で十分な改善がみられない方は、一度ご相談ください。