片頭痛の新しい飲み薬 ナルティーク・アクイプタによる予防治療
- 2026年9月1日
- 頭痛
皆さま、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

「片頭痛は、頭が痛くなったら痛み止めを飲むしかない」と思っていませんか?
実は、頭痛の回数が多い方や、仕事・家事・学校生活に支障が出ている方では、**頭痛そのものを起こりにくくする「予防治療」がとても大切です。
近年、片頭痛の治療は大きく進歩しており、従来の飲み薬に加えて、注射薬や新しい内服薬など、治療の選択肢が増えています。
今回は、新しく登場した飲むCGRP関連薬「ナルティーク」「アクイプタ」を中心に、片頭痛の予防治療についてご紹介します。
片頭痛の予防治療は大きく変わってきました
これまで片頭痛の予防には、抗てんかん薬やカルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬などが使われてきました。
これらの薬で十分な効果が得られる方もいますが、もともと片頭痛専用に開発された薬ではないため、効果が不十分であったり、副作用のため継続が難しかったりすることもありました。
片頭痛治療が大きく変わったきっかけの一つが、約5年前から日本でも使用されるようになったCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)を標的とする治療薬です。
代表的なものに「エムガルティ」「アジョビ」などの注射薬があります。
CGRPは片頭痛の発症に深く関わる物質で、この働きを抑えることで片頭痛発作を起こりにくくします。従来の予防薬とは異なり、片頭痛のメカニズムそのものをターゲットにした治療薬であることが大きな特徴です。
「注射」だけでなく「飲み薬」という選択肢も

2025年12月に「ナルティーク」、2026年4月には「アクイプタ」という新しい内服薬が発売されました。
これらはCGRP受容体拮抗薬と呼ばれる薬で、片頭痛に関係するCGRPの働きを抑えることで、発作を起こりにくくします。
これまでCGRP関連薬による予防治療は注射薬が中心でしたが、飲み薬という選択肢が増えました。
特に、
-
注射には抵抗がある
-
自分で注射するのは苦手
-
できれば飲み薬で治療したい
という患者さんにとっては、大きなメリットだと思います。
ナルティークとアクイプタの違いは?
どちらもCGRP受容体拮抗薬ですが、服用方法などに違いがあります。
| ナルティーク |
アクイプタ |
|
|---|---|---|
| 一般名 | リメゲパント | アトゲパント |
| 主な目的 | 予防治療+発作時の治療 | 予防治療 |
| 予防目的の服用 | 2日に1回 | 1日1回 |
| 特徴 | 発作時にも使用できる | 毎日服用する予防専用薬 |
| 剤形 | 口腔内崩壊錠 | 錠剤 |
ナルティークは、片頭痛発作が起きたときの治療にも、発作を予防する目的にも使用できる薬です。予防目的では原則として2日に1回服用します。
一方、アクイプタは予防治療に使用する薬で、通常は1日1回服用します。
どちらが適しているかは、頭痛の頻度やこれまでの治療歴、持病、併用薬などによって異なります。
実際に処方して感じること
当院でも、すでに何人かの患者さんに新しい内服薬の処方を始めています。
まだ使用経験は限られていますが、現時点では比較的副作用が少なく、「片頭痛の回数が減った」「頭痛が軽くなった」と治療に満足されている患者さんもいらっしゃいます。
もちろん、すべての患者さんに同じような効果が得られるわけではありません。
また、吐き気や便秘などの副作用が現れることもあり、併用薬によっては注意が必要です。
今後、処方経験を重ねながら、どのような患者さんに適しているのかを見極めていきたいと考えています。
注射薬と飲み薬、どちらがよいのでしょうか?

これは一概に「どちらが優れている」とは言えません。
月1回程度の投与で済む注射薬が便利な方もいれば、毎日の内服の方が生活に合っている方もいます。
治療を選ぶ際には、
- 頭痛の頻度や重症度
- これまでの予防薬の効果
- 副作用
- 注射への抵抗感
- 毎日の服薬の負担
- 治療費
などを総合的に考えて決めていきます。
また、新しい片頭痛予防薬は従来の予防薬と比べて薬剤費が高く、治療費についても考慮が必要です。
当院では、治療効果だけでなく、患者さんの生活スタイルやご希望、治療費なども含めて相談しながら治療方法を決めています。
処方日数の制限について
新しく発売された薬には、原則として発売後一定期間、1回に処方できる日数が14日分までという制限があります。
ナルティークとアクイプタについても、発売時期に応じた処方日数の制限があります。
この制限は所定の期間が経過すると解除されるため、今後は通院回数の負担も軽減されると考えられます。
なお、実際の処方日数については、診察時にご確認ください。
「片頭痛だから仕方ない」と我慢しないでください
片頭痛は、単なる「頭痛持ち」ではありません。
頭痛だけでなく、吐き気や光・音への過敏、仕事や家事の能率低下などを引き起こし、日常生活に大きな影響を及ぼす病気です。
また、頭痛が頻繁に起こるために鎮痛薬を繰り返し使用していると、『薬剤の使用過多による頭痛(MOH)』を合併してしまうこともあります。
最近の片頭痛治療は大きく進歩しており、以前よりも多くの選択肢の中から、自分に合った予防治療を選べるようになってきました。
特に、次のような方は一度ご相談いただければと思います。
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月に何度も片頭痛が起こる
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市販の鎮痛薬やトリプタンを頻繁に使用している
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これまでの予防薬では十分な効果が得られなかった
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注射は苦手だけれど、新しい片頭痛治療に興味がある
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頭痛によって仕事や日常生活に支障が出ている
片頭痛は、適切な診断と治療によって日常生活への負担を大きく減らせる可能性があります。
「片頭痛だから仕方ない」と我慢せず、頭痛でお困りの方はどうぞお気軽にご相談ください。