台風が近づくと頭痛が起こるのはなぜ?
- 2024年10月3日
- 頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、台風と頭痛の関係についてお話ししたいと思います。
当院では日々多くの頭痛患者さんを診察していますが、台風が近づく時期になると、頭痛が悪化するという方が少なくありません。
「台風が来る前から頭が痛くなる」
「天気予報を見なくても、頭痛で天気が悪くなるのがわかる」
といったお話を伺うこともあります。
実際、もともと片頭痛がある方では、気圧や天候の変化によって頭痛が誘発されたり、悪化したりすることがあります。
では、なぜ台風が近づくと頭痛が起こるのでしょうか。
台風で頭痛が起こるのはなぜ?

台風が接近すると、気圧が低下し、気温や湿度なども大きく変化します。
こうした環境の変化が、頭痛を引き起こすきっかけになると考えられています。
一般的には「低気圧頭痛」「天気頭痛」「気象病」などと呼ばれることもあります。
ただし、これらは正式な頭痛の病名ではありません。
実際には、もともとある片頭痛などが、天候の変化によって誘発されている場合が多いと考えられます。
天候の変化と頭痛の関係や、その治療方法については、以下の記事↓でも詳しく解説していますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
① 気圧の変化と片頭痛

台風による頭痛で、特に関係が深いと考えられているのが片頭痛です。
片頭痛は、脳の痛みを伝える三叉神経や、CGRPという物質などが関係する病気です。
以前は、低気圧によって血管が拡張するため頭痛が起こる、と説明されることが多くありました。
しかし現在では、片頭痛は単純な血管の拡張だけで説明できる病気ではないことがわかっています。
気圧の変化がどのような仕組みで片頭痛を誘発するのかについては、まだ十分に解明されていません。
ただし、気圧の変化と片頭痛の発症に関連がみられた研究もあり、特に天候の変化に敏感な患者さんがいることは知られています。
当院でも、台風が接近すると頭痛が悪化するという患者さんを診察する機会があります。
一方で、片頭痛の患者さん全員が天候の影響を受けるわけではありません。
このあたりは個人差が大きいところです。
② 気温や湿度の変化

台風が近づくと、気圧だけでなく、気温や湿度も変化します。
こうした環境の変化も、一部の患者さんでは頭痛の誘因になる可能性があります。
ただし、湿度が上がることで体内の水分バランスが直接変化し、それだけで頭痛が起こるという仕組みが確立されているわけではありません。
実際には、気圧、気温、湿度など、複数の要因が重なっている可能性があります。
③ 睡眠不足やストレス

台風の接近によって、睡眠が妨げられたり、体調がすぐれなくなったりすることもあります。
また、天候の悪化によって外出や仕事に影響が出るなど、ストレスが増えることもあるでしょう。
片頭痛は、睡眠不足やストレスなどによっても誘発されることがあります。
そのため、必ずしも気圧の変化だけが原因とは限りません。
台風による頭痛は、片頭痛のことが多い?
ここは、日々の診療でも重要だと感じるところです。
「低気圧だから頭が痛い」と思っていても、詳しくお話を伺うと、片頭痛の特徴がみられることがあります。
例えば、
・ズキズキする、あるいは強い頭痛が起こる
・吐き気を伴うことがある
・光や音がつらくなる
・体を動かすと頭痛が悪化する
・頭痛のため仕事や家事に支障が出る
・数時間から数日間、頭痛が続く
といった症状です。
片頭痛というと、こめかみがズキズキする頭痛を想像する方が多いかもしれません。
しかし実際には、頭全体が痛くなったり、後頭部や首の付け根が痛くなったりすることもあります。
また、必ずしもズキズキする痛みとは限りません。
一方で、頭全体が締めつけられるように痛み、首や肩のこりを伴う場合には、緊張型頭痛なども考えられます。
大切なのは、「台風が原因だから仕方がない」と考えるのではなく、実際にどのタイプの頭痛が起きているのかを確認することです。
台風が来る前から頭痛が起こることもある?

これも患者さんからよく伺うお話です。
台風が接近する数日前から頭痛が起こるという方もいらっしゃいます。
実際、台風の中心が近づく前から気圧などの気象条件は変化するため、その影響を受けている可能性はあります。
ただし、頭痛が起こったからといって、必ず台風が接近しているとは限りません。
天候以外にも、睡眠不足や疲労、月経周期など、片頭痛にはさまざまな誘因があります。
そのため、頭痛が起きた日と天候を記録してみると、ご自身の頭痛の傾向がわかりやすくなることがあります。
当院での診察について

当院では、台風や低気圧によって頭痛が悪化するという患者さんに対しても、まずは頭痛の性質や頻度、持続時間などを確認しています。
特に、以前から同じような頭痛を繰り返しているのか、それとも最近になって初めて出現した頭痛なのかは重要です。
また、普段使用している頭痛薬がどの程度効いているか、頭痛によって日常生活にどの程度支障が出ているかも確認します。
必要に応じて頭部MRI検査を行い、ほかの病気が隠れていないかを調べることもあります。
ただし、片頭痛はMRIで診断する病気ではありません。
典型的な片頭痛では、MRIに異常がみられないことがほとんどです。
一方で、突然出現した激しい頭痛や、これまで経験したことのない頭痛、手足の麻痺や言葉の出にくさなどを伴う場合には注意が必要です。
こうした場合には、台風や低気圧のせいと決めつけず、速やかな救急受診が必要です。
台風による頭痛の治療について


台風や低気圧そのものを薬で治すことはできません。
しかし、台風によって誘発された片頭痛に対しては、通常の片頭痛と同様に治療することが可能です。
① 頭痛が起きたときの治療
比較的軽い頭痛では、ロキソプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用することがあります。
片頭痛の特徴がはっきりしている場合には、トリプタン系薬剤やレイボー、ナルティークなどを使用することもあります。
当院では、単に頭痛薬を処方するだけでなく、これまでの薬の効き方や、服用するタイミングなども確認しています。
片頭痛では、適切なタイミングで薬を使用することが大切です。
また、薬を飲んでも十分に改善しない場合には、薬の種類や使用方法を見直すこともあります。
ただし、鎮痛薬を頻繁に使用すると、薬剤の使用過多による頭痛につながることもあるため、注意が必要です。
② 台風のたびに頭痛が悪化する場合には?
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。
台風が近づくたびに強い頭痛が起こり、数日間寝込んでしまうという方もいらっしゃいます。
こうした場合には、頭痛が起こってから薬を飲むだけでは、十分に対応できないことがあります。
もともと片頭痛の回数が多い方や、日常生活への支障が大きい方では、予防治療を検討することも重要です。
従来から使用されている内服の予防薬のほか、アジョビ、エムガルティ、アイモビーグなどの抗CGRP関連抗体薬も選択肢となります。
また、すでに予防治療を受けている方でも、台風の多い時期に頭痛が増える場合には、治療内容を見直すことがあります。
ただし、台風が近づく数日間だけ予防薬を増やせば必ず効果がある、というわけではありません。
薬によって効果が現れるまでの期間も異なるため、頭痛の頻度や治療経過を踏まえて判断する必要があります。
当院では、頭痛の回数だけでなく、仕事や日常生活への影響なども確認しながら、予防治療の必要性を検討しています。
台風による頭痛を予防するには?

日常生活では、以下のようなことを心がけてみてください。
・睡眠時間をなるべく一定にする
・食事を抜かないようにする
・こまめに水分を取る
・過度な疲労やストレスを避ける
・頭痛が起こった日と天候を記録する
・処方されている頭痛薬の使用方法を確認しておく
特に、台風のたびに頭痛が悪化する方は、頭痛ダイアリーなどを利用して、天候と頭痛の関係を確認してみるのもよいと思います。
とは言っても、気圧や天候を自分でコントロールすることはできません。
仕事や家庭の事情もあるでしょうし、台風が来るたびに安静にしているというのも、現実的には難しい方が多いと思います。
そのため、生活習慣の改善だけで何とかしようとせず、必要に応じて薬物治療を取り入れることも大切です。
最後に

台風や低気圧によって頭痛が悪化するという方は、決して珍しくありません。
特に、もともと片頭痛がある方では、天候の変化が頭痛のきっかけになる場合があります。
ただし、台風が近づくと頭が痛くなるからといって、すべてを気圧のせいにしてしまうのはよくありません。
実際には片頭痛などが隠れていることもあり、頭痛のタイプによって治療方法は変わります。
当院でも、天候によって頭痛が悪化するというご相談を受けますが、大切なのは、天候の影響を完全になくすことではなく、頭痛が起きてもできるだけ日常生活に支障が出ないようにすることだと考えています。
台風のたびに頭痛がひどくなる方や、普段の頭痛薬が効きにくい方は、一度治療方法を見直してみてもよいと思います。
頭痛でお困りの方は、お気軽にご相談ください。