その寝違え、頚椎椎間板ヘルニアかもしれません!治らない首の痛みに注意
- 2023年4月19日
- 首の痛み
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

朝起きたら突然首が痛くなり、動かすこともつらい。いわゆる「寝違え」は、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
寝違えの多くは数日から1週間程度で自然に改善します。
しかし、なかなか痛みが治らない、むしろ悪化している、肩や腕まで痛みが広がってきたという場合には、単なる寝違えではない可能性があります。
その原因の一つが、頚椎椎間板ヘルニアです。
今回は、寝違えと頚椎椎間板ヘルニアの違い、検査や治療について解説します。
① 寝違えとは?

寝違えとは、朝起きたときなどに突然首の痛みが生じ、首を動かしにくくなる状態をいいます。
睡眠中の不自然な姿勢や、首の筋肉・関節などへの負担が関係していると考えられています。
主な症状は、
・首を左右に動かすと痛い
・振り向くことができない
・首から肩にかけて筋肉が張る
・特定の方向に首を動かすと強い痛みが出る
といったものです。
多くの場合、数日から1週間程度で徐々に改善していきます。
無理に首を動かしたり、強いマッサージをしたりすることは避け、痛みの程度に応じて日常生活を続けることが基本です。
② 寝違えがなかなか治らない場合は?

寝違えだと思っていた首の痛みが、1週間以上続くことがあります。
もちろん、通常の寝違えでも痛みが長引くことはあります。
しかし、痛みが改善しない、次第に強くなる、腕に痛みやしびれが広がってきた場合には、別の病気を考える必要があります。
その代表的な疾患が、頚椎椎間板ヘルニアです。
③ 頚椎椎間板ヘルニアとは?

頚椎とは、首の部分にある7つの骨のことです。
それぞれの骨の間には、クッションの役割をする「椎間板」があります。
この椎間板の一部が後方などに飛び出し、神経を圧迫することで、首の痛みや腕のしびれなどを引き起こす病気が頚椎椎間板ヘルニアです。

主な症状には、
・首や肩甲骨周囲の痛み
・肩から腕、手指にかけての痛みやしびれ
・首を後ろに反らすと腕に痛みが走る
・腕や手に力が入りにくい
などがあります。
特に、首の痛みだけでなく、肩から腕、指先まで痛みやしびれが広がる場合には、神経根が圧迫されている可能性があります。
ただし、これらの症状は頚椎症や末梢神経障害などでも起こるため、症状だけでヘルニアと断定することはできません。
④ 寝違えと頚椎椎間板ヘルニアの違い
両者は、症状だけでは区別が難しいこともあります。

| 寝違え | 頚椎椎間板ヘルニア | |
|---|---|---|
| 首の痛み | よくある | よくある |
| 腕や手のしびれ | 通常はない | 起こることがある |
| 腕への放散痛 | 通常はない | 特徴的な症状の一つ |
| 筋力低下 | 通常はない | 起こることがある |
| 経過 | 数日で改善することが多い | 長引く場合も自然に改善する場合もある |
私が診察で特に重視するのは、首の痛みそのものだけでなく、腕への痛みやしびれ、筋力低下を伴っているかどうかです。
また、手先が不器用になる、歩きにくくなるといった症状がある場合には、脊髄そのものが圧迫されている可能性も考えます。
⑤ 頚椎椎間板ヘルニアの診断にはMRIが有用です

頚椎椎間板ヘルニアの診断では、MRI検査が非常に有用です。
レントゲン検査では骨の配列や変形などは確認できますが、椎間板や神経の状態を詳しく評価することは困難です。
MRIでは、
・椎間板がどの程度飛び出しているか
・神経根や脊髄が圧迫されているか
・脊髄に異常な信号変化がないか
などを確認できます。
ただし、MRIでヘルニアが見つかっても、それが必ずしも痛みの原因とは限りません。
症状のない方でも椎間板の突出が認められることがあるため、診察所見と画像所見を合わせて判断することが重要です。
また、首の痛みがある方全員にMRIが必要というわけではありません。症状や神経学的所見、経過に応じて検査の必要性を判断します。
⑥ 頚椎椎間板ヘルニアは手術が必要?
頚椎椎間板ヘルニアと診断されても、必ずしも手術が必要になるわけではありません。
実際には、保存的治療で症状が改善する患者さんも多くいらっしゃいます。

治療としては、
・消炎鎮痛薬などによる痛みのコントロール
・神経痛に対する薬物療法
・首への負担を減らす生活指導
・症状に応じたリハビリテーション
などがあります。
神経根症状は、時間の経過とともに改善することも少なくありません。
一方で、筋力低下が進行している場合や、脊髄の圧迫による手足の運動障害が認められる場合には、手術を含めた専門的な治療が必要になることがあります。
大切なのは、MRIでヘルニアが見つかったから手術をするのではなく、症状や神経障害の程度に応じて治療方針を決めることです。
⑦ このような症状があれば早めに受診してください

次のような場合には、単なる寝違えと考えず、医療機関での診察をおすすめします。
・首の痛みが1週間程度経っても改善しない
・痛みが徐々に強くなっている
・肩から腕、指先に痛みやしびれが広がる
・腕や手に力が入りにくい
特に、手足の筋力低下が進行する、歩行が不安定になる、手先の細かな動作が難しくなる場合には、早急な評価が必要です。
また、発熱を伴う強い首の痛み、外傷後の強い痛みなどでは、感染症や骨折といった別の疾患にも注意が必要です。
⑧ 当院では頚椎MRIによる評価が可能です

当院では、首の痛みや腕のしびれに対して、診察と必要に応じたMRI検査を行っています。
私はこれまで脳神経外科医として、脳の病気だけでなく、頚椎や腰椎、脊髄の疾患についても数多く診療してきました。
その経験を生かし、神経学的診察と画像検査を組み合わせて、症状の原因を評価しています。
頚椎椎間板ヘルニアだけでなく、頚椎症、脊髄疾患、末梢神経障害など、似た症状を引き起こす病気との鑑別も重要です。
手術などの専門的な治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へご紹介いたします。
まとめ
寝違えの多くは自然に改善します。
しかし、痛みが長引く場合や、肩から腕にかけての痛み・しびれが出現する場合には、頚椎椎間板ヘルニアなどが隠れている可能性があります。
特に、腕や手の筋力低下を伴う場合には注意が必要です。
「ただの寝違えだと思っていたのに、なかなか治らない」
そんな場合には、無理をせず、一度医療機関で相談していただければと思います。