更年期になると頭痛が増える?
- 2026年10月12日
- 頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、更年期と頭痛の関係についてお話しします。
当院で頭痛の診療をしていると、
「40代になってから頭痛が増えた」
「若い頃から片頭痛はあったけど、最近ひどくなってきた」
「更年期だから頭痛がするのでしょうか?」
といったご相談をいただくことがあります。
実は、更年期と頭痛には深い関係があります。
一般的に、片頭痛は年齢を重ねるにつれて軽くなる傾向がありますが、女性の場合、更年期に一時的に悪化することがあります。
今回は、その理由や治療について解説したいと思います。
なぜ更年期になると頭痛が増えるの?


更年期とは、一般的に閉経の前後約5年間ずつ、合計約10年間を指します。
日本人女性の閉経年齢は平均50歳前後とされており、45〜55歳頃が更年期にあたる方が多くなります。
この時期には、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」の分泌が大きく変動します。
実は、片頭痛はこのエストロゲンの変化に影響を受けやすいことが知られています。
特に、エストロゲンが急激に低下するタイミングで片頭痛が起こりやすくなると考えられています。
生理の前後に片頭痛が起こりやすいのも、同じような仕組みです。
更年期にはホルモンの変動が不規則になるため、これまで落ち着いていた片頭痛が再び悪化することもあります。
つまり、単純に女性ホルモンが減るから頭痛が起こるというよりも、ホルモンの変動そのものが頭痛に影響しているわけです。
更年期にはどんな頭痛が起こるの?
更年期にみられる頭痛として代表的なのが、片頭痛と緊張型頭痛です。
① 片頭痛

片頭痛では、
・ズキズキするような頭痛
・動くと痛みが悪化する
・吐き気を伴う
・光や音がつらくなる
といった症状がみられます。
片頭痛という名前ですが、必ずしも頭の片側だけが痛むわけではありません。
また、更年期には睡眠不足やストレス、体調の変化なども重なり、片頭痛が悪化することがあります。
② 緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭が締め付けられるような痛みや、頭全体の重苦しさが特徴です。
更年期には睡眠の質が低下したり、首や肩の筋肉が緊張したりすることで、こうした頭痛が起こることもあります。
実際の診療では、片頭痛と緊張型頭痛の両方をお持ちの方も少なくありません。
頭痛といっても原因や治療法は異なるため、まずはどのような頭痛なのかを見極めることが大切です。
片頭痛は年齢とともに減る?更年期には悪化することも

片頭痛は、一般的に年齢を重ねるにつれて、頻度や程度が軽くなる傾向があります。
実際、若い頃は片頭痛に悩まされていたものの、年齢とともに頭痛が減ってきたという方も少なくありません。
ところが、女性の場合、更年期には一時的に片頭痛が悪化することがあります。
その理由の一つが、先ほど説明した女性ホルモンの変動です。
更年期にはエストロゲンの分泌が不規則に変動するため、これまで落ち着いていた片頭痛が再び増えたり、痛みが強くなったりすることがあります。
一方、閉経後はホルモンの変動が落ち着くため、片頭痛が改善する方が多いとされています。
つまり、片頭痛は加齢とともに軽くなる傾向があるものの、更年期には一時的に悪化し、その後の閉経によって再び落ち着いてくるケースがあるということです。
もちろん個人差があり、閉経後も片頭痛が続く方はいらっしゃいます。
更年期の頭痛はどうやって治療するの?

更年期の頭痛だからといって、特別な頭痛薬が必要になるわけではありません。
基本的には、片頭痛なのか、緊張型頭痛なのかなどを判断し、それぞれに合った治療を行います。
片頭痛の場合には、一般的な鎮痛薬のほか、トリプタン製剤、レイボー、ナルティークなどの治療薬を使用することがあります。
また、頭痛の回数が多い方では、予防治療も重要です。
最近では、アジョビ、エムガルティ、アイモビーグなどのCGRP関連抗体製剤も使用できるようになり、片頭痛治療の選択肢は以前より大きく増えています。
私自身、頭痛の診療をしていて感じるのは、長年頭痛を我慢してきた方が、適切な治療によって日常生活をかなり楽に過ごせるようになるケースもあるということです。
「昔から頭痛持ちだから仕方がない」と考える必要はありません。
なお、ほてりや発汗、不眠などの更年期症状が強い場合には、婦人科でホルモン補充療法などを検討することもあります。
ただし、ホルモン補充療法は片頭痛そのものを治療する目的で一律に行うものではなく、頭痛が改善する場合もあれば、悪化する場合もあります。
婦人科とも連携しながら、適切な治療を考えていくことが大切です。
更年期の頭痛でもMRIは必要?
ここは、脳神経外科医として特にお伝えしておきたいところです。
40〜50代の女性に頭痛が起こると、「更年期のせいかな」と考える方も多いと思います。
もちろん、実際に女性ホルモンの変動が影響している場合もあります。
しかし、更年期だからといって、すべての頭痛を女性ホルモンのせいにしてしまうのはよくありません。
特に、
・今まで経験したことのない頭痛
・以前とは明らかに性質が変わった頭痛
・徐々に悪化している頭痛
・手足のしびれや麻痺を伴う頭痛
・見え方の異常を伴う頭痛
などがある場合には、脳の病気が隠れていないか確認する必要があります。

診察の結果、必要に応じてMRIなどの画像検査を行います。
一方で、以前からある典型的な片頭痛で、症状や診察所見に変化がなければ、必ずしもMRIが必要というわけではありません。
なお、突然起こった激しい頭痛や、麻痺・意識障害などを伴う場合には、外来受診を待たず、速やかに救急医療機関を受診してください。
最後に
更年期は、女性ホルモンの変動によって片頭痛が悪化しやすい時期です。
一般的に片頭痛は加齢とともに軽くなる傾向がありますが、更年期には一時的に悪化し、閉経後には再び落ち着いてくる方も多くいらっしゃいます。
ただし、更年期だからといって、すべての頭痛をホルモンの影響と決めつけないことも大切です。
頭痛の種類をしっかり見極め、それぞれに合った治療を行う必要があります。
最近では片頭痛の治療薬も充実しており、以前より頭痛をコントロールしやすくなっています。
頭痛は、我慢することが当たり前の病気ではありません。
当院では、頭痛の症状や経過を詳しく確認し、必要に応じてMRIなどの画像検査を行いながら、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案しています。
更年期に入ってから頭痛が増えた方や、これまでの頭痛が悪化してお困りの方は、お気軽にご相談ください。