かくれ脳梗塞とは?|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

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かくれ脳梗塞とは?|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

かくれ脳梗塞とは?

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、よく巷で言われる『かくれ脳梗塞』について解説してまいります。

かくれ脳梗塞とは?

『かくれ脳梗塞』という言葉は、正式な医学用語ではありません。

おそらくテレビの健康番組が発祥ではないかと記憶しています。

どうしてもテレビなどはインパクトの強い言葉を使わないと、視聴者が興味を持たないので仕方がないのですが、『かくれ脳梗塞』という言葉がやや独り歩きしている気もします。

まず、正式名称は、『無症候性脳梗塞(むしょうこうせいのうこうそく)』といいます。

つまり症状がない脳梗塞

脳の末梢の非常に細い血管がつまって脳梗塞をきたしてしまったけれども、非常に小さい脳梗塞なので自覚症状が全くない状態のことを言います。

かくれ脳梗塞の最大の原因は、高血圧と言われています。

他にも高脂血症や糖尿病なども原因となります。いわゆる生活習慣病ですね。

かくれ脳梗塞の診断

『かくれ脳梗塞』は、脳MRI検査で診断します。

CTでは不十分で、何となくしかわかりません。

MRIにはいくつかの撮影条件があるのですが、『かくれ脳梗塞は』、flair(フレアー)という条件が一番わかりやすいです。

フレアーでは、白っぽく写ります。

【かくれ脳梗塞なし】

 

【中等度かくれ脳梗塞(赤矢印)】

 

【重度のかくれ脳梗塞(黄矢印)】

かくれ脳梗塞の症状

『かくれ脳梗塞』は、無症候性脳梗塞の正式名称どおり、症状は基本的には全くありません。

『かくれ脳梗塞』は、年齢を重ねていくと多少は出てくるものですので、加齢性変化の1つとする考えもあります。

年齢に比べて極端に多い場合に問題とされます。

症状がないとはいえ、『かくれ脳梗塞』があまりに多いと脳細胞が減少しているということになり、認知機能が低下します。

この状態はアルツハイマー型認知症とは異なり脳血管性認知症と言われます。

また将来的な脳梗塞や脳出血のリスクが高くなるとも言われています。

かくれ脳梗塞の治療

年齢相応の『かくれ脳梗塞』であれば、加齢性変化なので治療の必要はありません。

とはいえ『かくれ脳梗塞』は一度なってしまったら改善することはないので、悪化予防が重要となってきます。

『かくれ脳梗塞』の最大の原因は、高血圧です。

なので、高血圧の治療をしていない場合は、早めに高血圧治療を開始します。

また高脂血症(高コレステロール血症)や糖尿病なども、高血圧ほどではないですが、原因の1つと考えられています。

ですので、それらが未治療であればそれに対しても治療を開始します。

上記は全て基本的には内服薬の治療になります。

高血圧、高脂血症、糖尿病は、いわゆる生活習慣病と呼ばれ、脳梗塞以外にも心臓病や腎臓病など様々な疾患を引き起こします。

『かくれ脳梗塞』の専門の治療はなく、これら生活習慣病を予防することが、結果的に『かくれ脳梗塞』や『本物の脳梗塞』を防ぐことにつながります。

ただ冒頭に述べた様に、『かくれ脳梗塞』という言葉が独り歩きして、MRIで少しでも指摘されてしまうと落ち込んでしまう方が増えてきている印象です。

言葉が有名になりすぎて、

患者さん『先生、かくれ脳梗塞はありますか?』

医師『うーん、多少ありますけど、年齢相応ですよ』

患者さん『えー。大変だ!脳梗塞になってしまうのでは?』

といったやりとりが増えてきています。

臨床をやっていると、『かくれ脳梗塞』が多い方が、しょっちゅう本物の脳梗塞になっているかと言われたら、そんなこともない気もします。

多くの方が年齢相応のものであり、必要以上に神経質にならないようにすることも大事かもしれません。