軽度認知障害(MCI)とは?認知症との違いや検査・治療について|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

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軽度認知障害(MCI)とは?認知症との違いや検査・治療について|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

軽度認知障害(MCI)とは?認知症との違いや検査・治療について

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

以前のブログでは、物忘れの原因や認知症との違いについてご紹介しました。

今回は、その続編として「軽度認知障害(MCI)」についてお話ししたいと思います。

当院にも、物忘れを心配されて受診される患者さんがいらっしゃいます。

ご本人が「最近、物忘れが増えてきた」と心配されている場合もあれば、ご家族に指摘されて受診される場合もあります。

診察してみると、明らかな認知症ではないものの、年齢相応の物忘れとも少し違う、という方もいらっしゃいます。

こうした場合に考えるのが、軽度認知障害(MCI)です。

軽度認知障害(MCI)とは?

MCIとは、簡単にいうと、正常な加齢による物忘れと認知症の中間にあたる状態です。

年齢相応の物忘れよりも認知機能が低下しているものの、日常生活はおおむね自立していることが特徴です。

例えば、

・最近、人の名前が出てこなくなった

・同じことを何度も聞くようになった

・約束や予定を忘れることが増えた

・以前より物事を考えるのに時間がかかる

・家族から物忘れを指摘されるようになった

といった症状がみられます。

ただし、こうした症状があるからといって、必ずMCIというわけではありません。

MCIと認知症は何が違う?

大きな違いは、日常生活にどの程度支障が出ているかという点です。

MCIの場合、物忘れが増えていても、買い物や金銭管理、身の回りのことなどは基本的に自分で行えます。

一方、認知症では、こうした日常生活にも支障が出てくるようになります。

当院では、物忘れの程度だけでなく、普段の生活にどのような変化が出ているかを重視しています。

例えば、約束を忘れることが増えても、手帳などを使って自分で管理できているのか。

あるいは、薬の管理や金銭管理が難しくなり、ご家族の援助が必要になっているのか。

こうした点を確認することは、MCIと認知症を判断するうえで重要です。

また、ご本人はそれほど気にされていなくても、ご家族が変化に気づいていることもあります。

そのため、可能であればご家族から普段の様子を伺うことも参考にしています。

MCIは必ず認知症になるの?

患者さんやご家族からも、よく心配される点です。

結論からいうと、MCIだからといって、必ず認知症になるわけではありません。

MCIの方の一部は、その後認知症へ進行しますが、長期間ほとんど変化しない方や、認知機能が改善する方もいらっしゃいます。

認知症へ進行する割合は、原因や年齢などによって異なりますが、年間5〜15%程度と報告されています。

そのため、MCIと診断されたからといって、過度に心配する必要はありません。

一方で、認知症の初期段階である可能性もあるため、一度検査して終わりではなく、必要に応じて経過を確認することが大切です。

MCIの原因は?

MCIの原因としてよく知られているのが、アルツハイマー病です。

ただし、物忘れの原因はアルツハイマー病だけではありません。

脳梗塞などの脳血管障害や、睡眠不足、うつ病、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、薬剤の影響などによっても、認知機能が低下することがあります。

当院でも、物忘れがあるからといって、最初からアルツハイマー病と決めつけることはありません。

特に、急に物忘れが目立つようになった場合や、ほかの症状を伴っている場合には、別の病気が隠れていないか注意が必要です。

中には、原因を治療することで改善が期待できるものもあります。

当院でのMCIの検査について

当院では、物忘れの程度を調べるために、長谷川式認知症スケール(HDS-R)という認知機能テストを行っています。

また、頭部MRI検査に加えて、必要に応じてVSRAD(ブイエスラド)という画像解析も行っています。

VSRADは、アルツハイマー病で萎縮がみられやすい海馬周辺の状態を数値化するもので、診断の参考になります。

ただし、これらの検査だけでMCIや認知症を確定診断できるわけではありません。症状や日常生活の様子も含めて総合的に判断しています。

また、脳梗塞や正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫など、物忘れの原因となる病気が見つかることもあります。

ただし、MRIで異常がなければMCIではない、というわけではありません。

MRIで明らかな異常がなくても、認知機能が低下している場合はあります。

逆に、脳の萎縮がみられたからといって、それだけで認知症と診断できるわけでもありません。

当院では、画像検査の結果だけでなく、症状の経過や日常生活の様子なども含めて総合的に判断することを大切にしています。

MCIに薬は効くの?

MCIに対する薬物治療についても、気になる方は多いと思います。

従来からアルツハイマー型認知症の治療に使用されているドネペジル(アリセプト)などについては、MCIの段階でも効果があるのではないかと研究されてきました。

一部の研究では、一時的に認知症への進行を抑える可能性が示されています。

ただし、長期的な効果は十分に確認されておらず、現時点ではMCIに対する標準的な治療にはなっていません。また、日本ではMCI単独に対する保険適用もありません。

一方、近年ではアルツハイマー病に対する新しい治療薬も登場しています。

レカネマブ(レケンビ)やドナネマブ(ケサンラ)といった薬です。

これらは、アルツハイマー病の原因に関係すると考えられているアミロイドβという物質に作用する薬で、アルツハイマー病によるMCIの段階でも、一定の条件を満たせば治療を受けることができます。

認知機能を元に戻したり、病気の進行を完全に止めたりする薬ではありませんが、進行を遅らせる効果が期待されています。

ただし、すべてのMCIの方が対象になるわけではありません。治療前には専門的な検査が必要で、脳のむくみや微小出血などの副作用にも注意が必要です。

そのため、これらの治療は専門の医療機関で行われます。

当院では、物忘れの原因を調べ、診察や検査の結果からこうした新しい治療が選択肢になると考えられる場合には、専門の医療機関をご紹介しています。

MCIだからといって、必ず認知症になるわけではありませんし、治療の選択肢がないわけでもありません。

まずは現在の状態を正しく把握し、その方に合った対応を考えていくことが大切だと思います。

MCIと診断されたら?

薬物治療だけでなく、普段の生活習慣も大切です。

特に、

・ウォーキングなどの適度な運動

・高血圧や糖尿病などの生活習慣病の管理

・人との交流や趣味などの知的活動

・十分な睡眠

・定期的な認知機能のチェック

などが勧められています。

当院でも、検査結果を説明するだけでなく、こうした生活習慣の重要性についてお伝えすることを大切にしています。

特別なことを始める必要はなく、まずは無理なく続けられることから取り組むことが重要です。

最後に

当院では、物忘れを心配されて受診された方に対して、単に年齢のせいと決めつけず、原因を確認することを大切にしています。

もちろん、物忘れが増えたからといって、すべての方がMCIや認知症というわけではありません。

ただし、年齢相応の物忘れだと思っていた症状が、MCIの初期症状である可能性もあります。

MCIは認知症とは異なり、原因によっては改善することもあります。また、最近では早期のアルツハイマー病に対する新しい治療薬も登場しています。

物忘れが気になる場合には、早い段階で一度原因を調べておくことをお勧めします。

当院でも、必要に応じてMRI検査などを行い、物忘れの原因を調べています。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。