吐き気を伴う頭痛の原因は?
皆さま。こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

吐き気と伴う頭痛について
頭痛が起こったときに、吐き気がしたり、実際に吐いてしまったりすることがあります。
当院でも、頭痛とともに吐き気を訴えて受診される患者さんは少なくありません。
このような頭痛で、まず考えられるのが「片頭痛」です。
ただし、吐き気を伴う頭痛がすべて片頭痛というわけではありません。頻度は高くありませんが、くも膜下出血などの重大な病気が隠れていることもあります。
今回は、吐き気を伴う頭痛について、考えられる原因や注意したい症状、治療方法などをお話ししたいと思います。
なぜ頭痛が起こると吐き気が出るの?
そもそも、なぜ頭が痛いのに、胃がムカムカしたり、吐き気が出たりするのでしょうか。
少し不思議に思われるかもしれません。
実は、頭痛に関係する神経の働きと、吐き気を引き起こす脳の仕組みには深い関係があります。

特に片頭痛では、三叉神経を中心とした痛みの伝達経路が活発になり、脳幹などの神経回路にも影響することで、吐き気や嘔吐が起こると考えられています。
つまり、吐き気があるからといって、必ずしも胃腸が悪いわけではないのです。
実際に、胃薬を飲んでもなかなか改善せず、頭痛の治療を行うことで吐き気も一緒に改善することがあります。
最も代表的なのは片頭痛
吐き気を伴う頭痛で、最も代表的なのが片頭痛です。
片頭痛というと、頭の片側がズキズキ痛むイメージがあると思います。
しかし、実際には両側が痛むこともありますし、必ずしもズキズキする痛みとは限りません。
片頭痛には、以下のような特徴があります。

・頭がズキズキ、ガンガン痛む
・吐き気や嘔吐を伴う
・光や音がつらく感じる
・体を動かすと頭痛が強くなる
・数時間から数日間、頭痛が続く
・痛みが強いと寝込んでしまうこともある
特に、頭痛が起こると気持ち悪くなり、暗い部屋で横になっていたくなるという場合には、片頭痛の可能性が高くなります。
また、頭痛そのものよりも、吐き気の方がつらいという患者さんもいらっしゃいます。
片頭痛は若い方に多い病気ですが、中高年になっても続くことがあります。
ただし、これまで頭痛がほとんどなかった方に、突然このような症状が出現した場合には、ほかの病気がないか確認することも大切です。
くも膜下出血には注意が必要

吐き気を伴う頭痛で、特に注意しなければならないのが、くも膜下出血です。
くも膜下出血は、脳の血管にできた動脈瘤が破裂することなどによって起こります。
典型的には、突然、非常に強い頭痛が出現します。
同時に吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
特に注意したいのは、次のような症状です。
・突然、経験したことのない激しい頭痛が起こった
・数秒から1分程度で痛みが最も強くなった
・頭痛とともに何度も吐いてしまう
・意識がもうろうとする
・首に強い痛みや硬さがある
このような場合には、速やかに救急医療機関を受診する必要があります。
くも膜下出血というと、突然倒れて意識を失うイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には意識がはっきりしていて、自分で歩ける患者さんもいらっしゃいます。
意識があるから大丈夫、というわけではありません。
特に、突然発症した激しい頭痛は、普段の片頭痛とは区別して考える必要があります。
脳腫瘍などが原因になることも

脳腫瘍などによって、頭蓋骨の中の圧力(頭蓋内圧)が高くなると、頭痛や吐き気、嘔吐が起こることがあります。
特に、以前より頭痛が強くなってきた場合や、頭痛の頻度が増えてきた場合には注意が必要です。
また、頭痛だけでなく、視力の異常や手足の麻痺、けいれんなどが出現することもあります。
ただし、吐き気を伴う頭痛があるからといって、すぐに脳腫瘍を疑うわけではありません。
実際には、片頭痛などが原因であることの方がずっと多いです。
大切なのは、頭痛がいつから始まり、どのように変化しているのかを確認することです。
必要に応じて、MRIなどの画像検査を行います。
髄膜炎などの感染症

発熱とともに頭痛や吐き気が出現した場合には、髄膜炎などの感染症にも注意が必要です。
髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている膜に炎症が起こる病気です。
頭痛や発熱、吐き気のほか、首が硬くなったり、意識の状態が悪くなったりすることがあります。
ただし、必ずしもすべての症状がそろうわけではありません。
また、髄膜炎ではMRIで異常が認められないこともあります。
そのため、MRIで異常がないからといって、髄膜炎を完全に否定できるわけではありません。
診察で髄膜炎が疑われる場合には、血液検査や髄液検査などを含めた評価が必要になります。
発熱を伴う強い頭痛や、意識の異常がある場合には、早めの受診が大切です。
緊張型頭痛でも吐き気は出るの?

緊張型頭痛は、頭が締め付けられるように痛むことが多く、首や肩のこりを伴うこともあります。
一般的に、緊張型頭痛では片頭痛のような強い吐き気や嘔吐はみられません。
そのため、頭痛とともに明らかな吐き気がある場合には、片頭痛の可能性も考える必要があります。
ここで少し注意したいのが、肩こりと頭痛の関係です。
肩こりがあると、緊張型頭痛だと思われがちですが、実は片頭痛でも首や肩のこりを伴うことがあります。
当院でも、肩こりからくる頭痛だと思って受診された方が、詳しくお話を伺うと片頭痛の特徴を持っていることがあります。
肩こりがあるから緊張型頭痛、とは限らないということです。
吐き気を伴う頭痛の治療は?
治療方法は、頭痛の原因によって異なります。
片頭痛の場合には、ロキソニンなどの一般的な鎮痛薬のほか、トリプタン製剤やレイボー、ナルティークなど、片頭痛に特化した治療薬を使用することがあります。
治療方法は、頭痛の原因によって異なります。
片頭痛の場合には、ロキソニンなどの一般的な鎮痛薬のほか、トリプタン製剤やレイボー、ナルティークなど、片頭痛に特化した治療薬を使用することがあります。
また、頭痛の原因に応じて、筋肉の緊張を和らげる薬や漢方薬などを使用することもあります。
ただし、くも膜下出血や髄膜炎などの重大な病気が原因の場合には、それぞれの病気に対する専門的な治療が必要になります。
そのため、単に頭痛を抑えるだけでなく、まずは原因をしっかりと見極めることが大切だと考えています。
吐き気止めは、頭痛の改善にも役立つことがあります
吐き気が強い場合には、プリンペラン(メトクロプラミド)などの吐き気止めを一緒に使用することもあります。
実は、こうした吐き気止めは、単に吐き気を抑えるだけではありません。
片頭痛では、胃の動きが悪くなり、飲んだ薬の吸収が遅くなることがあります。
プリンペランには胃の動きを改善する作用もあるため、トリプタン製剤などの頭痛薬と併用することで、薬の吸収を助け、頭痛の改善につながる可能性があります。
また、メトクロプラミド自体にも片頭痛の痛みを和らげる作用が報告されています。ただし、この効果は主に注射薬で研究されており、内服薬で同じ効果が得られるとは限りません。
つまり、吐き気止めを併用することは、吐き気だけでなく、頭痛そのものの改善にも役立つ場合があるということです。
ただし、すべての患者さんで併用による効果が高まるわけではなく、薬の副作用なども考慮して使用を判断します。
頭痛薬を飲むタイミングも大切です
片頭痛では、頭痛がかなり強くなってから薬を飲んでも、十分な効果が得られないことがあります。
そのため、適切なタイミングで薬を使用することが大切です。
また、頭痛の回数が多い場合には、予防治療も検討します。
最近では、CGRP関連薬など、片頭痛の予防治療にも新しい選択肢が増えてきました。
ただし、薬によっては費用が高額になるため、頭痛の頻度や程度、患者さんの経済的な負担なども考慮しながら治療を選択しています。
片頭痛は、適切な治療によって症状の改善が期待できる病気です。
頭痛のたびに吐き気が出てしまう方も、治療を見直すことで楽になる可能性があります。
MRIやCTは必要なの?

吐き気を伴う頭痛があるからといって、必ずしも全員にMRIやCTが必要というわけではありません。
以前から同じような片頭痛を繰り返していて、診察でも特に問題がない場合には、画像検査を行わないこともあります。
一方で、以下のような場合には、画像検査を検討します。
・今まで経験したことのない頭痛
・以前とは明らかに違う頭痛
・頭痛が徐々に悪化している
・手足の麻痺や言葉の異常がある
・50歳以降に新しく始まった頭痛
・診察で脳の病気が疑われる場合
MRIは脳腫瘍などの病気を詳しく調べるのに役立ちます。
一方、突然の激しい頭痛でくも膜下出血が疑われる場合には、頭部CTが重要になります。
ただし、MRIやCTで異常がないからといって、すべての頭痛の原因が否定できるわけではありません。
画像検査だけでなく、患者さんのお話や診察所見も非常に大切です。
当院では、頭痛の症状や経過を確認したうえで、必要に応じてMRI・CT検査を行っています。
最後に

吐き気を伴う頭痛で、最も代表的なのは片頭痛です。
実際、当院でも頭痛と吐き気を訴えて受診される患者さんの多くは、片頭痛が原因と考えられます。
ただし、頻度は高くありませんが、くも膜下出血や脳腫瘍、髄膜炎などの病気が隠れていることもあります。
頭痛の診療で大切なのは、単に痛みの強さだけでなく、いつから、どのような頭痛が起こっているのかを詳しく確認することだと考えています。
また、片頭痛であれば、最近は治療の選択肢も増えており、以前よりも症状をコントロールしやすくなってきています。
頭痛のたびに吐き気が出る方や、市販の頭痛薬を飲んでもなかなか改善しない方は、一度ご相談いただければと思います。
当院では、必要に応じてMRI・CT検査を行いながら、頭痛の原因を確認し、それぞれの患者さんに合った治療を考えていきます。
なお、突然の激しい頭痛や、意識障害、手足の麻痺などを伴う場合には、通常の外来受診を待たず、速やかに救急医療機関を受診してください。