目の充血と涙を伴う頭痛|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

〒167-0053東京都杉並区西荻南1丁目1-1 西荻南メディカルモール3階
Tel:03-3332-0777
fax:03-3332-0788
ヘッダー画像

院長ブログ

目の充血と涙を伴う頭痛|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

目の充血と涙を伴う頭痛

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、少し厄介な、三叉神経・自律神経性頭痛について解説してまいります。

三叉神経•自律神経性頭痛(TACs)とは?

 

三叉神経・自律神経性頭痛というタイプの頭痛があります。

英語のtrigiminal autonomic cephalalgiasの頭文字をとって、TACs(タックス)ということが多いです。

片側の頭痛もしくは目の奥の痛みとともに、目の充血、涙が出る、鼻が詰まる、鼻水などの自律神経症状を伴うことが特徴です。

片頭痛とも少し違います。

TACs(タックス)の頭痛は、一般的なものより激しいことが多く、しばし患者さんの日常生活を大きく損なうことも多く、やっかいな頭痛と言えるでしょう。

三叉神経•自律神経性頭痛(TACs)の4タイプ

TACs(タックス)には、4タイプあります。

それぞれについて解説してまいりたいと思います。

群発頭痛(ぐんぱつずつう)

群発頭痛は、数週間〜数ヶ月にわたり、ほぼ毎日激しい頭痛が15分~3時間くらい起こります。

目をえぐられるような激しい痛み、前頭部から側頭部にかけての締め付けられるような激しい痛みが、ある時期に集中的に起こり、その期間以外にはパタッと症状がなくなります。

男性に多く、飲酒や喫煙で誘発されると言われています。とくに飲酒で顕著に起こります。

目の充血、涙が出る、鼻づまり、鼻水などの症状を伴い、痛みのため横になることができず歩き回るようになることも少なくありません。

群発頭痛の治療は、まだ完全に確立されていないのですが、それでも個人個人で効果がある治療はありますので、各種薬剤を組み合わせて最適な治療を探していくことになります。

まず群発頭痛の予防薬として、ベラパミル(製品名はワソラン)という不整脈の薬を最初に用います。

他にも、バルプロ酸(製品名:デパケン、セレニカ)というてんかんの薬や炭酸リチウムという抗うつ剤を用いることもあります。

副腎皮質ステロイドも短期間使用することもあります。

頭痛発作時は、片頭痛の特効薬(イミグラン、スマトリプタン)が有効で、さらに酸素投与(7-10L純酸素15-30分)も効果的です。

SUNCT(サンクト)とSUNA(スナ)

 

SUNCT(サンクト)は、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作

SUNA(スナ)は、頭部自律神経症状を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作

といいます。とんでもなく長い病名のため、英語の略称で、SUNCT(サンクト)とSUNA(スナ)と表現されます。

これら2つは、ほとんど同じような疾患で、1日に数回、強い刺すようなズキズキする痛みが、目の奥やこめかみに起こります。

痛みが続く時間は、1秒〜10分程度です。

SUNCT(サンクト)は、目の充血と涙の両方を伴い、SUNA(スナ)は、そのうちのどちらかを伴います。

SUNCT(サンクト)とSUNA(スナ)の治療は、予防薬として、ラモトリギン、トピラマート、ガバペンチンというてんかんの薬を使用します。

頭痛発作時は、リドカインという不整脈の薬剤の点滴投与が有効とされていますが、投与量によっては危険を伴う薬剤なので、何かあってもすぐ対応できる総合病院での投与が望ましいでしょう。

発作性片側頭痛

発作性片側頭痛(ほっさせいへんそくずつう)は、片側の目の周囲、こめかみなどに2-30分持続する強い痛みが1日数回起こります。

片頭痛と名称が似ていてややこしいですが、別の疾患です。

頭痛と同じ側の、目の充血、涙、鼻詰まり、鼻水、発汗、目の腫れなどを伴います。

SUNCT(サンクト)やSUNA(スナ)よりやや発作時間が長い傾向にあり、鼻詰まり、鼻水、発汗といった、SUNCT(サンクト)やSUNA(スナ)には現れない症状が症状があります。

※サンクトやスナの持続時間は1秒〜10分程度。サンクトは目の充血と涙の2個のみ伴い、スナは目の充血と涙のどちらか一方のみ伴います。

発作性片側頭痛は、群発頭痛と似ていますが、治療法が大きく異なり、インドメタシンという薬が非常によく効きます。

インドメタシンの内服薬は市販されてないので、医療機関で処方してもらう必要があります。

当院では、咳嗽時頭痛の方には、ランツジールというインドメタシンと同効果の内服薬(体の中に取り込んだらインドメタシンに変化する薬)を処方しております。

持続性片側頭痛

持続性片側頭痛は、上記の発作性片側頭痛と同様、頭痛と同じ側の、目の充血、涙、鼻詰まり、鼻水、発汗、目の腫れなどを伴いますが、頭痛の持続時間が非常に長く、1日中続く痛みが3ヶ月超えてあります。

片頭痛で見られるような光や音に過敏になるといった症状が、しばしばみられるといった特徴がありますが、片頭痛とは治療法が異なります。

持続性片側頭痛は、発作性片側頭痛と同様にインドメタシンが絶対的に効果を示します。

まとめ

三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)の4タイプは、似ている症状も多く、診断は容易ではありません。さらに片頭痛とも似ている部分があります。

そのため一般的にこれらの病態が広く知られていないことも合わさって、片頭痛として治療されているケースもかなりあるのではないかと思います。

上記症状が当てはまる方、片頭痛として治療されてても効果がない方などは、早めにTACsに詳しい頭痛専門医に相談してください。