間欠性跛行とは?歩くと足がしびれる・痛くなる原因について
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

今回は、歩いていると足がしびれたり、痛くなったりする「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」についてお話しします。

「しばらく歩くと足がしびれて、歩けなくなる」
「少し休むと楽になり、また歩けるようになる」
「以前より長い距離を歩けなくなった」
当院のしびれ外来でも、このような症状を訴える患者さんは少なくありません。
このように、歩くと足に症状が出て、休むと改善し、また歩けるようになる状態を間欠性跛行といいます。
間欠性跛行は病名ではなく、症状の名前です。
原因として特に重要なのが、腰の神経の病気と、足の血管の病気です。
間欠性跛行の原因は大きく2つあります

代表的な原因は、次の2つです。
① 腰部脊柱管狭窄症(神経性間欠性跛行)
② 末梢動脈疾患(血管性間欠性跛行)
どちらも歩くと足が痛くなったり、しびれたりしますが、原因はまったく異なります。
そのため、両者を見分けることが重要です。
① 腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行

腰部脊柱管狭窄症は、腰の神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される病気です。
加齢に伴って起こることが多く、中高年の方によくみられます。
代表的な症状は、
・歩いているとお尻や足がしびれてくる
・足に痛みや重だるさが出る
・立ち続けているだけでも症状が出る
・座ったり、前かがみになったりすると楽になる
・自転車には比較的問題なく乗れる
といったものです。
特に、前かがみになると症状が楽になるというのは、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な所見の一つです。
例えば、普通に歩くと足がしびれるのに、ショッピングカートを押しながら前かがみで歩くと、比較的長い距離を歩けるという方もいます。
これは、前かがみになることで脊柱管がやや広がり、神経への圧迫が軽減されるためと考えられています。
腰部脊柱管狭窄症については、「腰部脊柱管狭窄症とは?」で詳しく解説しています。
② 末梢動脈疾患による間欠性跛行

もう一つの重要な原因が、足の血管の病気です。
以前は「閉塞性動脈硬化症」と呼ばれることが多かった病気で、現在は「下肢末梢動脈疾患(PAD)」という名称も使われています。
動脈硬化によって足の血管が狭くなったり、詰まったりすることで、足の筋肉に十分な血液が届かなくなります。
安静にしているときには症状がなくても、歩くことで筋肉が多くの酸素を必要とすると、血液の供給が追いつかなくなり、痛みが出ることがあります。
代表的な症状は、
・歩くとふくらはぎが痛くなる
・一定の距離を歩くと症状が出る
・立ち止まって休むと数分で改善する
・足が冷たく感じることがある
・足の脈が弱くなっていることがある
といったものです。
特に、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙歴などがある方では注意が必要です。
また、足の動脈硬化がある方では、心臓や脳の血管にも動脈硬化が進んでいる可能性があります。
そのため、単に足の症状だけの問題として考えないことも重要です。
腰の神経が原因?それとも足の血管が原因?
両者には、ある程度特徴の違いがあります。
| 特徴 | 腰部脊柱管狭窄症 | 末梢動脈疾患 |
|---|---|---|
| 原因 | 腰の神経の圧迫 | 足の血流不足 |
| 症状の場所 | お尻から足全体など | ふくらはぎが多い |
| 前かがみ | 楽になることが多い | 姿勢による変化は少ない |
| 立ち止まるだけ | 改善しにくいこともある | 改善しやすい |
| 自転車 | 比較的乗れることが多い | 運動強度によって症状が出る |
| 足の冷え | 必ずしも伴わない | 伴うことがある |
ただし、これはあくまで一般的な特徴です。
実際には症状が似ていることも多く、両方の病気を合併している患者さんもいます。
特に高齢の方では、腰部脊柱管狭窄症と足の動脈硬化が同時に存在することもあるため、注意が必要です。
間欠性跛行の検査は?
まず重要なのは、症状を詳しく確認することです。
どのくらい歩くと症状が出るのか、休むと何分くらいで改善するのか、前かがみで楽になるのかなどを確認します。
腰部脊柱管狭窄症が疑われる場合

腰椎MRIが有用です。
MRIでは、脊柱管がどの程度狭くなっているか、神経がどこで圧迫されているかなどを確認できます。
ただし、MRIで脊柱管が狭くなっていても、必ずしもそれが症状の原因とは限りません。
画像所見と症状を合わせて判断することが重要です。
末梢動脈疾患が疑われる場合

足の脈を確認するほか、ABI(足関節上腕血圧比)という検査が有用です。
これは腕と足首の血圧を比較して、足の血流が低下していないかを調べる検査です。
必要に応じて血管エコーやCT血管撮影などを行い、血管が狭くなっている場所を詳しく調べます。
なお、糖尿病などで血管の石灰化が強い場合には、ABIだけでは正確に評価できないこともあります。
当院では、診察の結果に応じてMRIなどの検査を行い、血管の病気が疑われる場合には、必要な検査や治療ができる専門医療機関をご紹介しています。
間欠性跛行は治療できる?
原因によって治療方法は異なります。
腰部脊柱管狭窄症の場合
症状が軽い場合には、内服薬や運動療法などの保存的治療を行います。
症状が強く、歩行や日常生活に大きな支障がある場合には、手術を検討することもあります。
特に、足の筋力低下が進行している場合や、排尿・排便の障害を伴う場合には、早急な専門的評価が必要です。
末梢動脈疾患の場合
禁煙、運動療法、血圧・糖尿病・脂質異常症の管理などが重要です。
必要に応じて薬物治療を行い、症状が強い場合や血流障害が重度の場合には、カテーテル治療やバイパス手術などを検討します。
また、安静にしていても足が痛む、足の傷が治らない、足先が黒く変色しているといった場合には、重度の血流障害の可能性があるため、早急な評価が必要です。
突然、片足が強く痛み、冷たくなったり、色が悪くなったりした場合には、急性の血管閉塞の可能性もあるため、直ちに救急医療機関を受診してください。
歩くと足がしびれる場合は、一度検査をおすすめします
間欠性跛行は、年齢のせいだと思われていることも少なくありません。
しかし、実際には腰の神経や足の血管に病気が隠れていることがあります。
特に、
・以前より歩ける距離が短くなった
・歩くと足がしびれたり、痛くなったりする
・少し休むとまた歩けるようになる
・外出することが億劫になってきた
このような症状がある方は、一度医療機関で相談してみることをおすすめします。
最後に
今回は、間欠性跛行について解説しました。
間欠性跛行は、腰部脊柱管狭窄症などの神経の病気だけでなく、足の血管の病気によっても起こります。
両者では治療方法が異なるため、原因を正しく見極めることが重要です。
当院では、足のしびれや痛み、歩行障害などの診療を行っており、必要に応じてMRI検査などを実施しています。
歩くと足がしびれる、長い距離を歩けなくなったなどの症状でお困りの方は、すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニックへご相談ください。