日本脊髄障害医学会で講演しました ~頚椎手術の術式選択について~
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

少し前のお話になりますが、当院開業直前の2022年11月18日、パシフィコ横浜で開催された「第57回日本脊髄障害医学会」にて、講演する機会をいただきました。

日本脊髄障害医学会は、1966年に設立された歴史ある学会で、脊髄損傷をはじめとする脊髄疾患の診断や治療、リハビリテーションなどについて、全国の専門医が集まり議論する学会です。
このような歴史ある学会で、経験豊富な先生方を前に講演する機会をいただき、大変光栄に思っております。
講演テーマは「頚椎疾患における前方法・後方法の術式選択」

今回、私がお話ししたテーマは、
「頚椎疾患における前方法・後方法の術式選択」
というものです。
少し難しい題名ですが、簡単にいうと、
「首の手術をするときに、前から手術するのか、それとも後ろから手術するのか」
という内容です。
頚椎とは、首の部分にある7つの骨のことで、その中を脊髄という非常に重要な神経が通っています。
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどによって脊髄や神経根が圧迫されると、手足のしびれ、痛み、筋力低下、歩行障害など、さまざまな症状が現れることがあります。
症状が強い場合や、神経症状が進行する場合には、手術が必要になることもあります。
首の前から手術する?それとも後ろから?
頚椎の手術には、大きく分けて2つのアプローチがあります。
① 前方法(首の前側から手術する方法)
首の前側から頚椎に到達し、神経を圧迫している椎間板や骨棘などを取り除く方法です。
主に、圧迫の部位や範囲、頚椎の配列などを考慮して選択します。
比較的限局した病変などで適している場合があります。
② 後方法(首の後ろ側から手術する方法)
首の後ろ側から脊髄の圧迫を解除する方法です。
椎弓形成術や椎弓切除術などがあり、必要に応じて固定術を組み合わせることもあります。
複数の椎間にわたって脊髄が圧迫されている場合などに選択されることがあります。
どちらが優れているのでしょうか?
実は、どちらの方法が一概に優れているというわけではありません。
病変の位置や範囲、頚椎の配列、患者さんの年齢、症状などによって、適切な手術方法は異なります。
また、それぞれの術式にはメリットだけでなく、注意すべき合併症や問題点もあります。
大切なのは、患者さん一人ひとりの病態に応じて、適切な手術方法を選択することです。
今回の講演では、これまでの手術経験を踏まえ、こうした術式選択について私見も交えながらお話しさせていただきました。
熟練された先生方にとっては基本的な内容も多かったと思いますが、日々の診療経験を整理する良い機会にもなりました。
脊椎外科の経験は、現在の診療にも生きています
私はこれまで、脳神経外科医として脳の病気だけでなく、頚椎や腰椎などの脊椎疾患の診療・手術にも数多く携わってきました。
前勤務先の聖麗メモリアル病院では、脊椎センターの立ち上げに携わり、初代センター長を務めておりました。
現在はクリニックでの外来診療が中心ですが、こうした経験は日々の診療に大いに役立っています。
例えば、手のしびれ一つをとっても、原因はさまざまです。
脳の病気なのか、頚椎の病気なのか、あるいは末梢神経の障害なのか。
同じような症状でも、原因によって治療方針は大きく異なります。
当院では、これまでの経験に加え、MRIやCT、神経伝導検査などを活用しながら、症状の原因を調べています。
また、頚椎に異常が見つかったからといって、必ずしも手術が必要なわけではありません。
実際には、内服薬などの保存的治療で経過をみる患者さんも多くいらっしゃいます。
一方で、筋力低下が進行している場合や、脊髄の圧迫によって歩行障害などが生じている場合には、早期の専門的な治療が必要になることもあります。
手術を経験してきたからこそ、手術が必要な患者さんと、そうでない患者さんを適切に見極めることが重要だと考えています。
当院で手術を行うわけではありませんが、手術が必要と判断される場合には、適切な専門医療機関へご紹介しています。
首の痛みや手足のしびれでお悩みの方へ
首の痛みや手足のしびれは、日常診療でも非常によくみられる症状です。
多くの場合、緊急性の高い病気ではありませんが、中には脊髄や神経の障害が隠れていることもあります。
特に、手先が不器用になった、歩きにくくなった、手足の力が入りにくくなったといった症状がある場合には注意が必要です。
当院では、脳神経外科・脊椎外科で培ってきた経験を生かし、適切な診断と治療に努めています。
首の痛みや手足のしびれなどでお困りの方は、お気軽にご相談いただければと思います。
なお、今回の講演で使用したスライドは、以下からご覧いただけます。
専門的な内容ではありますが、ご興味のある方はぜひご覧ください。
