頚椎症・頚椎椎間板ヘルニアにおすすめの枕は?脳神経外科医が解説|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

〒167-0053東京都杉並区西荻南1丁目1-1 西荻南メディカルモール3階
Tel:03-3332-0777
fax:03-3332-0788
ヘッダー画像

ブログ

頚椎症・頚椎椎間板ヘルニアにおすすめの枕は?脳神経外科医が解説|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

頚椎症・頚椎椎間板ヘルニアにおすすめの枕は?脳神経外科医が解説

こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。

当院では、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアによる首の痛み、肩こり、腕のしびれなどの患者さんを日々診察しています。

その中で、非常によく聞かれる質問があります。

「先生、枕はどんなものがいいですか?」

これ、本当によく聞かれます。

高い枕がいいのか、低い枕がいいのか。

硬い方がいいのか、柔らかい方がいいのか。

最近では、ストレートネック専用の枕なんてものもあります。

正直に言いますと、私自身、これまで枕についてはあまり自信を持ってお答えできていませんでした。

というのも、枕の良し悪しについては個人差も大きく、医学的にもはっきりしていない部分が多いからです。

とはいえ、毎日のように質問されるので、今回、枕についての医学論文を少し調べてみました。

そもそも枕で頚椎症は治るの?

まず、ここははっきりしています。

枕を変えたからといって、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアそのものが治るわけではありません。

頚椎症は、加齢などによって頚椎や椎間板に変性が起こる病気です。

頚椎椎間板ヘルニアでは、椎間板が突出し、神経を圧迫することがあります。

枕を変えたところで、こうした骨や椎間板の変化が元に戻るわけではありません。

ただし、寝ているときの首の角度によっては、首の筋肉や関節に負担がかかり、痛みが悪化することがあります。

そのため、枕を変えることで首の痛みが軽減する可能性はあります。

つまり、枕は病気そのものを治すものではありませんが、症状を楽にする手助けにはなるかもしれないということです。

実際、論文ではどうなの?

調べてみると、枕についても意外と研究されていました。

2021年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、さまざまな枕と首の痛みとの関係が検討されています。

その結果、ラバー素材やスプリング構造の枕では、慢性的な首の痛みや朝起きたときの症状が改善する可能性が報告されています。

一方で、睡眠の質については、明確な改善が認められませんでした。

また、研究によって使用する枕も違えば、対象となる患者さんも違います。

そもそも、これらの研究の多くは慢性的な首の痛みを対象にしたもので、頚椎椎間板ヘルニアによる腕のしびれなどに対して効果があるかどうかは、よくわかっていません。

要するに、

「枕によって首の痛みが改善する人はいる。でも、どの枕が一番いいのかは、まだはっきりしない」

というのが現在の医学的な結論に近いと思います。

高い枕と低い枕、どっちがいいの?

これもよく聞かれます。

一般的には、高すぎず、低すぎず、首が自然な位置に保たれる高さがよいとされています。

 

高すぎる枕では、首が前に曲がりすぎてしまいます。

反対に低すぎる枕では、首が反りすぎることがあります。

ただ、ここで問題になるのが、**「じゃあ、何cmがいいの?」**ということです。

残念ながら、これにも明確な答えはありません。

身長や体格、肩幅、寝る姿勢、さらにはマットレスの硬さによっても、適切な高さは変わってきます。

そのため、「頚椎症の人は低い枕にしましょう」と一律に説明するのは、少し無理があると思います。

仰向けと横向き、どっちがいいの?

これも、どちらが医学的に優れているという明確な根拠はありません。

仰向けでは、首が強く曲がったり反ったりしないこと。

横向きでは、肩幅の分だけ枕の高さが必要になるため、頭が左右に大きく傾かないこと。

こうした点が、一応の目安になります。

ただ、実際には寝ている間に何度も寝返りを打ちます。

朝までずっと同じ姿勢で寝ているわけではありません。

個人的には、あまり寝る姿勢を意識しすぎず、楽に眠れる姿勢でいいのではないかと思っています。

もちろん、特定の姿勢で首の痛みや腕のしびれが悪化する場合には、その姿勢は避けた方がよいでしょう。

枕の硬さは?硬い方がいい?柔らかい方がいい?

これも患者さんからよく聞かれます。

結論から言うと、硬すぎず、柔らかすぎず、自分が楽に眠れる枕がいいのではないかと思います。

柔らかすぎる枕では、頭が沈み込みすぎて、首が不自然な角度になってしまうことがあります。

反対に、硬すぎる枕では、後頭部や首への圧迫が強くなり、かえって痛みや不快感につながることもあります。

では、どのくらいの硬さが理想的なのでしょうか?

残念ながら、これについても医学的にはっきりした答えはありません。

枕の素材について調べた研究では、ラバー素材などの枕で首の痛みが改善したという報告もあります。

ただし、「頚椎症には硬い枕がいい」「椎間板ヘルニアには柔らかい枕がいい」などと断言できるほどの根拠はありません。

私としては、枕の硬さそのものにこだわるよりも、実際に寝てみて首に負担がかからないことの方が大切だと思っています。

今の枕で特に問題なく眠れているのであれば、無理に買い替える必要もないでしょう。

ストレートネック専用の枕はどうなの?

最近、こうした枕もよく見かけます。

「頚椎のカーブを整える」

「ストレートネックを改善する」

など、なかなか魅力的な宣伝文句が並んでいます。

ただし、こうした枕を使うことで、ストレートネックそのものが改善するという十分な医学的根拠はありません。

そもそも、ストレートネックだから必ず首が痛くなるというわけでもありません。

もちろん、その枕を使って首が楽になるのであれば、使っていただいて構わないと思います。

ただ、ストレートネックと診断されたからといって、高価な専用枕を購入する必要はないと考えています。

ストレートネックについてはこちらにも詳しく書いています。

結局、どんな枕がおすすめなの?

ここまで読んでいただいて、

「で、先生。結局どの枕がいいんですか?」

と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

長々と説明しておいて申し訳ありませんが、やはり特定の枕をおすすめすることは難しいです(笑)。

ただ、私なりに考えると、次のような枕がよいのではないかと思います。

・高すぎず、低すぎない

・首が無理な角度にならない

・寝ていて首や肩が楽

・朝起きたときに症状が悪化していない

・できれば高さを調整できる

特に、高さを調整できる枕であれば、自分に合った高さを探しやすいというメリットがあります。

ただし、これも医学的に確立された選び方というわけではありません。

今使っている枕で特に困っていないのであれば、無理に買い替える必要もないと思います。

枕を変えても、しびれが治らない場合は?

ここは少し真面目な話になります。

頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアでは、首の痛みだけでなく、腕や手のしびれ、痛み、筋力低下などが起こることがあります。

こうした症状は、神経根や脊髄への圧迫によって生じている場合があります。

そのため、枕をいくら変えても症状が改善しないことがあります。

特に、手に力が入りにくい、細かい作業がしづらい、歩きにくいといった症状がある場合には、頚髄症などの可能性も考える必要があります。

このような場合には、枕を探し続けるよりも、まずは原因を調べることが大切です。

最後に

今回は、患者さんから非常によく聞かれる枕について、医学論文も参考にしながらお話ししました。

私自身、今回改めて調べてみましたが、やはり「これが一番いい」という枕は見つかりませんでした。

ただ、枕によって首の痛みが改善する可能性はあり、決して無意味というわけでもなさそうです。

結局のところ、自分が楽に眠れて、朝起きたときに首の調子が悪くなっていなければ、それでいいのではないかというのが私の考えです。

高価な枕が必ずしもよいとは限りませんし、逆に安い枕でも自分に合っていれば問題ありません。

枕選びにあまり神経質になりすぎる必要はないと思います。

ただし、首の痛みや腕のしびれが長引いている場合には、枕だけの問題と考えず、一度診察を受けることをおすすめします。

参考文献

Pang JPCY, Tsang SMH, Fu ACL. The effects of pillow designs on neck pain, waking symptoms, neck disability, sleep quality and spinal alignment in adults: A systematic review and meta-analysis. Clinical Biomechanics. 2021;85:105353.

DOI: 10.1016/j.clinbiomech.2021.105353