見逃されやすい椎間孔狭窄症
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。
今回は、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の中でも、診断が難しい(見逃されやすい)椎間孔狭窄症(ついかんこうきょうさくしょう)について解説してまいります。
腰部脊柱管狭窄症と椎間孔狭窄症のちがい
まず腰部脊柱管狭窄症は、こちらで詳しく解説していますが、簡単に言うと、脊柱管という神経の通り道が狭くなってしまい、神経が圧迫され、足やお尻にしびれや痛みが出てしまう疾患です。
一般的な腰部脊柱管狭窄症は、MRIやCTを撮ることで、診断可能です。
下の図の青い部分が脊柱管で、中には太い神経(馬尾といいます)が通っています。
腰部脊柱管狭窄症では、脊柱管自体が狭くなります。
脊柱管内の馬尾からさらに神経が両側から出て、お尻や足の方に向かいます。
この神経を神経根(しんけいこん)といいます。
下は脊柱管を輪切りにした図です。真ん中に脊柱管があり、その中に馬尾が入っています。
その両側から出ているのが神経根です。
通常の脊柱管狭窄症では、脊柱管自体が狭くなるので、馬尾が圧迫されます。
しかし、脊柱管自体は問題がなく、脊柱管の外側で馬尾から神経根が出たあたり(ここを椎間孔といいます)で圧迫されるタイプのものがあります。
これを『椎間孔狭窄症(ついかんこうきょうさくしょう)』といいます。
足やお尻のしびれ・痛みが著明にあるにも関わらず、MRIやCTではっきりした脊柱管狭窄の所見がないことが特徴です。
脊柱管の外側を注意深くみても、MRIやCTではっきりとわからないケースも多いです。
神経根ブロック(神経根に直接針を刺して麻酔薬を注入し、一時的に症状の改善が得られるかどうかをみる手技)を行うことで、診断を確定できることが多いですが、診断に難渋するケースもあります。
神経根ブロック
MRIもしくはCTでは、特に異常ないと言われているにも関わらず、耐え難い坐骨神経痛や足のしびれ・痛みが続いている場合には、椎間孔狭窄症が隠れている可能性があります。
椎間孔狭窄症は、腰部脊柱管狭窄症ほど一般的には認知されておらず、原因不明の坐骨神経痛や足のしびれとして放置されているケースもあります。
椎間孔狭窄症の治療
椎間孔狭窄症の治療は、基本的にはまず内服薬で治療します。
内服薬は腰部脊柱管狭窄症と同じものを使います。
症状が耐え難く、日常生活に支障をきたすほどのものであれば、神経根ブロックや手術を検討します。
さいごに
前の病院に勤務していた時に、椎間孔狭窄症について、学会で発表しましたので、こちらにスライドを載せておきます。
何かのご参考になれば幸いです。