しびれ
しびれ
「しびれ」とは、体の一部がビリビリしたり、ジンジンしたり、あるいはさわった感覚がわからない状態のことをいいます。「しびれ」の原因は、脳・脊椎・末梢神経、その他、多分野にわたります。患者さんも、何科を受診するかわからないことも多く、複数の医療機関を受診することも少なくありません。
当院では、院長の豊富な経験とともに、MRI、CT、神経伝導速度計などを駆使して、あらゆる「しびれ」に対して、原因を調べ、適切な治療を行います。「しびれ」でお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。
以下の症状をともなう突然の「しびれ」は、脳卒中の可能性がありますので、早急に医療機関を受診してください。もちろん当院でも対応可能ですが、症状が深刻な場合には、すぐに救急車を呼んで脳神経外科医が常駐する大きい病院に受診してださい。
基本的には、上記のような「しびれ」以外は、それほど緊急性が高くないものがほとんどです。では、しびれをきたす疾患はどのようなものがあるか部位ごとに説明してまいります。
基本的には頭のしびれだけの場合は、心配がないことがほとんどです。頭のしびれの多くは頭皮の神経痛で、基本的には放っておいても問題ありません。ただ心配でしたら、頭のCTかMRIを撮って頭の中に問題がないことが確認できれば、より安心できるでしょう。
帯状疱疹だと、このような赤い発疹が頭皮に見られます。
頭のしびれが、しびれを通り越して強い痛みも伴い、さらに発疹が見られていた場合は、帯状疱疹の可能性があります。この場合は、適切な内服薬や軟膏を使わないと改善しませんので、できるだけ早く皮膚科に受診してください。
顔のしびれは、少し注意が必要です。特に、顔の左右どちらかに突然しびれが出た場合は、脳卒中の可能性が考えられます。突然に顔のしびれが出た場合は、できるだけ早くMRIが取れる施設(脳神経外科か神経内科)を受診してください。
突然でなくても顔がしびれるといった場合には、頚椎疾患の可能性も考えられます。頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアのような頚椎疾患では、腕や手のしびれが起こりますが、頚椎の上のほうの疾患ですと、顔の神経に関連する部分にまで悪さをすることがあり、顔のしびれや頭痛といった症状を引き起こすことがあります。
頚椎疾患では腕や手にしびれをきたすことが多いのですが、体全体や一部のしびれをきたすこともあります。
突然の左右どちらか片側の手足にしびれがでた場合は、脳卒中を疑います。すぐMRIが取れる脳神経外科を受診してください。
腕や手に向かう神経は、頚椎から多数枝分かれしています。頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアでは、それらの神経が頚椎で圧迫され、腕や手にしびれが起こります。腕全体の時もあれば、ピンポイントの時もあります。
手のひらと親指、人差し指、中指、薬指の4本がしびれるような場合は、手根管症候群の可能性が考えられます。手根管症候群では、手根管という手のひらの神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫され、手のしびれを来す疾患です。
手根管症候群とはちがい、小指と薬指の2本がしびれる場合は、肘部管症候群の可能性があります。肘部管は、肘の内側にあるトンネルで、このトンネルが狭くなり中の神経を圧迫されると、小指、薬指にしびれが生じます。ひどくなってくると前腕やヒジまでしびれてきたり、力が入りにくくなったりします。
胸郭出口症候群では、腕を挙げた時に、腕や手のしびれが生じます。腕や手に向かう神経は、全て鎖骨の下を通りますが、胸郭出口症候群では、腕を挙げることで、この鎖骨下のスペースがさらに狭くなり、神経の圧迫が強くなり、しびれが強くなるという特徴があります。
腰部脊柱管狭窄症は、腰の脊柱管という神経の通り道が狭くなり、中の腰の神経が圧迫される疾患です。
足やお尻にしびれや痛みが生じたり、歩いているうちにお尻や足がしびれてきて歩けなくなってしまい、少し休憩するとまた歩けるようになるという特徴があります。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)と言います。
椎間板は、骨と骨のクッションの役割をしています。腰椎椎間板ヘルニアでは、このクッションが、本来あるべきところに収まらず、神経側に飛び出してしまい、神経が圧迫されて、足のしびれや痛みが起こります。
腰やお尻の激しい痛み、足のしびれ(もしくは痛み)がある場合は、腰椎椎間板ヘルニアの可能性を考えます。かなり強い痛みが特徴で、痛みで歩くこともままならないことも多々あります。
梨状筋は、お尻の深いところにある、骨盤と股関節をつなぐ筋肉です。梨状筋症候群ではこの梨状筋が硬くなったり、こり固まったりすると、坐骨神経を圧迫し坐骨神経痛を引き起こすことがあります。
坐骨神経痛とは、お尻から太ももの外側にかけてのしびれ・痛みのことをいいます。
閉塞性動脈硬化症とは、足の動脈の動脈硬化が進行することで、足の先への血流が低下してしまう病気のことです。
足への血流が低下するため、足のしびれ、冷え、ふくらはぎの痛みなどの症状を引き起こします。また、腰部脊柱管狭窄症と同様、間欠性跛行(かんけつせいはこう)をきたすことがあります。
※間欠性跛行とは、歩いているうちにお尻や足がしびれてきて歩けなくなってしまい、少し休憩するとまた歩けるようになる症状です。
足根管症候群とは、足の裏に向かう神経が、内側のくるぶし付近(足根管)で圧迫され、足の裏がしびれてしまう状態です。
足の裏のみしびれている場合は、足根管症候群の可能性があります。足の裏がジンジンしたり、砂利の上を歩いているような感覚になります。かかとは、あまりしびれないのが特徴です。
腰部脊柱管狭窄症は、上に書いたように、足の多彩な場所にしびれを引き起こし、足裏のしびれも引き起こします。上記の足根管症候群との鑑別が難しい時もあります。