頭痛持ちでない方の突然の激しい頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。
突然の激しい頭痛は、すぐ医療機関へ!!
もともと頭痛持ちでない方、軽い頭痛持ちくらいの方の、『突然の激しい頭痛』は、要注意です。
以下3つの疾患のどれかの可能性があります。
治療が遅れると大きな後遺症に繋がってしまう可能性がありますので、すぐ脳神経の専門医がいる施設を受診してください。
くも膜下出血
脳の血管の瘤(こぶ)が、突然破れることで発症します。
ハンマーで殴られたような突然の激しい痛みが特徴です。
この瘤は、破けない限りは無症状ですが、脳ドックなどで事前に見つかった場合などは、大きさ次第では治療をした方が良い場合があります。
くも膜下出血は、緊急疾患で、治療の遅れは命取りになってしまいます。
CT検査でほとんどのものが診断できます。
椎骨動脈解離
首の骨の中を通って頭に入っていく血管を椎骨動脈といいます。
この椎骨動脈の壁が剥がれると、左右どちらかの後頭部に強い痛みが出現します。
この病態を椎骨動脈解離と言います。
比較的軽い痛みから激痛まで様々ですが、比較的若い方にも多く、外来でも一定数見つかります。
多くのケースは軽症ですが、まれに脳梗塞やくも膜下出血をきたすものもあり、注意が必要です。
後頭神経痛という頭皮の神経痛(心配がない病態)と鑑別が難しい場合があります。
椎骨動脈解離は、CTではわからず、MRIを撮らないと診断できないので、見逃されているケースもそれなりに多いのではないかと思います。
可逆性脳血管攣縮症候群
『かぎゃくせいのうけっかんれんしゅくしょうこうぐん』と読みます。
日本語だと長いので、英語のReversible Cerebral Vasoconstriction Syndromeの頭文字をとって『RCVS』と訳します。
トイレ・運動・性交・精神的な興奮・シャワー・入浴・いきみ動作などで激しい頭痛を繰り返します。
原因不明に脳血管の複数箇所が狭くなってしまうことで起こります。
片頭痛の既往がある方が多いですが、片頭痛の既往がない方でも起こりえます。
30-40代の女性に多いとされております。
ほとんどのケースは後遺症なく改善しますが、まれに脳梗塞やくも膜下出血をきたすことがあります。
RCVSもCTでは診断できず、MRIでないと診断できません。
突然の激しい頭痛は、脳神経外科医にとっても緊張が走る瞬間です。
上記の3つの疾患は見逃さないように、気を張って外来を行っております。