頭痛で目が覚める方へ
- 2023年4月20日
- 頭痛
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。
頭痛でほぼ毎日、目が覚めてしまう『睡眠時頭痛』について解説いたします。
睡眠時頭痛とは?
睡眠時頭痛とは、睡眠中のみ繰り返し起こる頭痛のことで、まだ起床時間ではないのに、頭痛で目が覚めてしまいます。
頭部CTやMRIを撮っても異常があるわけではなく、原因不明の頭痛とされています。
以前は、『目覚まし頭痛』などとも呼ばれていました。
かなりの頻度で起こることが特徴で、睡眠不足の原因にもなり、発症した方はかなりストレスとなります。
睡眠時頭痛の診断
まず睡眠中の頭痛を起こす他の疾患がないことが大前提です。
睡眠時無呼吸症候群、脳腫瘍、高血圧、薬の使用過多などを除外しておく必要があります。
その上で、以下の項目を満たすものを『睡眠時頭痛』と診断します。
① 睡眠中のみ起こる
② 月に10日以上起こる
③ 頭痛の持続時間は、15分〜4時間
あくまで客観的な診断基準ですので、たとえば月に9回だったり、頭痛時間が10分だったりでも、『睡眠時頭痛』として考えてよいでしょう。
睡眠時頭痛の原因
前述したように睡眠時頭痛の原因は明らかにはされていません。
最近の研究では、脳の視床下部(ししょうかぶ)というホルモンや睡眠・覚醒に関係している部分が小さくなることが、関係しているかもしれないとの報告もありますが、本当にそうなのか微妙です。
睡眠時頭痛の治療
現在、睡眠時頭痛に有効とされる薬剤は4種類あります。
① インドメタシン
インドメタシンという鎮痛剤の内服が、睡眠時頭痛に有効とされています。
インドメタシンの内服薬は市販されておりませんので、医療機関で処方してもらう必要があります。
当院では、咳嗽時頭痛の方には、ランツジールというインドメタシンと同効果の内服薬(体の中に取り込んだらインドメタシンに変化する薬)を処方しております。
※インドメタシンそのものは、なぜか日本では発売中止になりました。
② カフェイン
カフェインはご存知のようにコーヒーやエナジードリンクなど、身近な飲み物に含まれていますが、頭痛を軽減する効果があるとされています。
(ただし、片頭痛の方などは、カフェインで頭痛が悪化することがあります)。
睡眠時頭痛にカフェインは有効とされており、睡眠時頭痛の方には、寝る前にコーヒーを1杯飲んでもらったり、カフェインの錠剤を処方したりします。
カフェイン錠剤は市販もされているようです。
ただしカフェインで不眠になってしまう方には使いづらいです。
③メラトニン
メラトニン、脳の松果体(しょうかたい)という部位で作られる物質で、体内時計を正常化する作用があります。
不眠や時差ボケなどに有効ですが、睡眠時頭痛にも有効とされる報告があります。
メラトニンは、アメリカなどではその辺のスーパーで購入できるのですが、日本では市販されておらず、医師も処方できません。
アメリカでは、サプリメントという位置付けで、全く危険な薬剤ではないのですが、日本では厚労省の許可がまだ取れていないようです。
ですので、現時点では、個人輸入という形で、ご自身で購入していただくことになります。
一方、医師が処方できるロゼレムという比較的新しい睡眠導入薬があるのですが、ロゼレムはメラトニン受容体を刺激することで自然な睡眠を促す作用があります。
メラトニン受容体を刺激したからといってメラトニンが作り出されるわけではないので、睡眠時頭痛に効果があるかどうかは不明です。
ただ非常に副作用の少ない薬ですので、難治性の睡眠時頭痛に試してみる価値はあるかもしれません。
④ リチウム
もともとは、躁うつ病(そううつびょう)に用いる薬ですが、睡眠時頭痛に有効であるとの報告があります。
ただし最初に処方する薬剤としては、医師側としても患者さん側としてもやや抵抗がありますので、上記3つが無効であった場合に、検討するべきかなと思います。
睡眠時頭痛でお困りの方は、当院にお気軽にご相談ください。