その手のしびれ、手根管症候群かも!|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

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その手のしびれ、手根管症候群かも!

皆さま。こんにちは。
すぎなみ脳神経外科医・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。
今回は、聞きなれない病名かもしれませんが、手のしびれの原因となる手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)という疾患について解説していきます。

 

手根管症候群とは?

そもそも手根管(しゅこんかん)とは何なのでしょうか?
手根管とは、『手のひらの手首の真ん中くらいにあるトンネル』のことを言います。
そのトンネルには正中神経という神経が通っています。
この正中神経は、親指、人差し指、中指、薬指の4本の指に向かう神経です。

この手根管というトンネル部分が、何らかの原因でせまくなってしまうと、中を通っている正中神経が圧迫されてしまいます。
そうすると親指、人差し指、中指、薬指がしびれてしまいます。
※親指、人差し指、中指の3本が、特に強くしびれることが多いです。
このような状態を手根管症候群といいます。
ひどくなってくると、手のひら全体がしびれてきたり、手首までしびれが放散することもあります。

さらに悪化してしまうと、親指の付け根の筋肉が萎縮してしまい、物をつかんだりするのに支障をきたしてしまうようになってしまいます。

手根管症候群の原因

では、手根管症候群の原因は何なのででしょうか。

手首の使いすぎ

多く言われているのは、手首の使いすぎです。
手首を使いすぎることで、手根管(トンネル)を形成する組織が分厚くなってしまい、手根管が狭くなってしまいます。
似たように使いすぎで起こる疾患で、腱鞘炎(けんしょうえん)というものがありますが、腱鞘炎は、手首の付近そのものが痛くなります。
腱鞘炎では、下の写真の赤い部分あたりが痛くなることが多いです。

手根管症候群では、しびれる場所は、親指、人差し指、中指、薬指です。

 

女性に多
原因というわけでありませんが、なぜか女性に多い特徴があります。
もちろん男性もなります。

糖尿病

糖尿病自体が、手のしびれを引き起こすことはあるのですが、
糖尿病によって手根管が狭くなることがあり、それによって二次的に手根管症候群が引き起こされることがあります。
糖尿病は、しびれに大敵です。

手根管症候群の検査

実は頚椎症でも、親指、人差し指、中指、薬指のしびれが起こることがあり、両者の鑑別が難しいことがあります。
手のしびれがあり、ずっと頚椎症として治療されていたけれども、実は手根管症候群だった』 
というケースも結構あります。
頚椎症は、MRIやCT、レントゲンで診断します。
また手首より上(前腕、上腕、肩、肩甲骨など)にもしびれがある場合は、手根管症候群ではなく頚椎症を疑います。
頚椎症について知りたい方はこちら

手根管症候群特有の検査には、神経伝導速度検査MRI検査があります。

① 神経伝導速度検査

下の写真のような装置を手に装着して調べます。

刺激がMAXに到達するとズキズキしますが、短時間ですので我慢できないほどの痛みではありません。
この検査では、手根管症候群の原因である正中神経の伝導する速度を調べ、圧迫による障害がないかどうかを調べます。

② MRI

MRIでは、T2や脂肪抑制という条件にて、圧迫された正中神経が腫れて白っぽくなる所見となります。

③ 自己診断

また手根管症候群には、自分で簡単に診断できる方法があります。
手首(手関節)を指など絵たたくとしびれ、痛みが指先に響きます。
これをティネルサインといいます。

もう一つは、手首を直角に曲げて手の甲をあわせて保持し、
1分間以内にしびれが悪化するかどうかを見ます。
これをファレンテストといいます。

この2つがあれば、かなりの確率で手根管症候群が疑われます。

手根管症候群の治療

手首の酷使をへらす

まずは、手首の使いすぎを防ぐことが重要です。
草むしり、重いものを持つ といったことは、ある程度控えた方がいいでしょう。
また運動や仕事などで手首を酷使することが多い場合は、それらも控えた方が改善につながります。なかなか生活上必要に迫られ、制限が難しい方も多いのが現状ですが。。

内服薬

手首の酷使の軽減と並行して、内服薬による治療も行うことが多いです。
消炎鎮痛剤、ビタミンB12、神経痛のお薬などを用います。
基本的には、しびれに用いる薬は、体のどの部位であろうと共通していることが多いです。
以下にしびれのお薬について詳しく載せましたので、ご参考にしてみてください。
しびれの薬について知りたい方はこちら

ブロック治療

痛む部位に直接麻酔薬を注入して症状の改善を期待する治療です。
効果は一時的なことが多いので、一時しのぎのような意味合いが強いかもしれません。

手術

内服治療でも症状が抑えられなかったり、指先の動きが悪くなってきた場合には、手術を検討します。
狭くなった手根管を広げ、中を通っている正中神経の圧迫を解除する手術です。
慣れた外科医が行えば、局所麻酔で20分程度で行えます。
手術のリスクが非常に少ない割には、症状が大幅に改善することが多いため、症状があまりにもつらい方は、手術も選択肢の一つではないでしょうか。

似ている疾患

以上、手根管症候群について解説いたしましたが、稀ですが、似ている疾患があります。

円回内筋症候群という疾患です。

円回内筋症候群とは?

手根管症候群では、正中神経という神経が、手首部分で圧迫されますが、円回内筋症候群(えんかいないきんしょうこうぐん)では、正中神経が肘付近で圧迫されます。

肘の内側から外側に向かって斜めに下降する円回内筋(えんかいないきん)という筋肉によって、正中神経が圧迫される病態です。

テニスやボーリング、野球など肘をよく使う競技の方や職業的に肘を酷使する方などで多く見られます。

同じ正中神経の障害ですので、手根管症候群としびれる範囲はほとんど同じです。

手根管症候群との違いは以下となっております。

・前腕にも症状がある

・腕を回す動きで悪化する

・指よりも手のひらのしびれがより強い(手根管症候群は、指のしびれが強い)

・夜間や明け方には症状が少ない(手根管症候群は、夜間・明け方に多い)

円回内筋症候群の治療

まずは肘の酷使を減らすことが大事です。

内服薬治療としては、手根管症候群と同様、消炎鎮痛剤、ビタミンB12、神経痛の薬などを用います。

どうしても改善しない場合は、神経の圧迫を取り除く手術を行います。

まとめ

今回は手根管症候群(と円回内筋症候群)について解説いたしました。
手のしびれというと、脳や頚椎の疾患を連想する方も多いかと思いますが、手根管症候群(まれに円回内筋症候群)もまぎれていることが少なくありません。

気になる方は、当院までお気軽にご相談ください。