突然の後頭部の痛み!椎骨動脈解離かもしれません
皆様、こんにちは。
すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック院長の遠藤です。
突然の後頭部の痛みで、考えられる疾患とは?
突然に起こる頭痛で、最も有名で怖いものは、くも膜下出血です。
くも膜下出血の頭痛は、頭全体の時もあれば、後頭部や前頭部の時もあります。
非常に怖い病気で、場合によってはそのままお亡くなりになってしまうケースもあります。
すぐさま緊急の処置が必要で、診断する側としては絶対に見逃すことができない疾患です。
頭部CTにて、ほとんどのくも膜下出血は診断できます。
急性期病院では、突然の頭痛患者さんには、くも膜下出血でないことを証明するために、最初に短時間で撮影できる頭部CTを撮ることが多いです。
CTで、くも膜下出血がないことが確認できれば、患者さん・医師ともに少しホッとして、
『くも膜下出血はありません。鎮痛薬を出しますので様子をみてください』
という状況になりがちです。
ちょっと待ってください!
たしかにCTでは、くも膜下出血でないことは確認できたとしても、もう1つ突然の後頭部痛で見逃してはいけない病気があるのです。
『椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)』
という病気です。
椎骨動脈解離とは?
椎骨動脈(ついこつどうみゃく)は、首の骨の外側を通って、頭の中に入っていく血管です。
この血管は、首では左右2本あり、頭の中に入ったら合流して1本になります。
左右の椎骨動脈のどちらかが、合流する手前で血管の壁がはがれてしまうことを、椎骨動脈解離といいます。
原因は不明なことが多く、30代、40代の若い年齢の方に起こることが多いとされています。
この椎骨動脈解離でも、突然の後頭部の強い痛みを引き起こします。
くも膜下出血ほどの極度の激しい頭痛でないことが多いですが、それでもかなりの激痛になることが多いです。
椎骨動脈解離の頭痛の特徴は、
右の椎骨動脈解離なら、右の後頭部の痛み
左の椎骨動脈解解離なら、左の後頭部の痛み
となります。
ここで注意が必要なのは、椎骨動脈解離はCT検査では診断できません。
診断には、MRA(MRIと同時にできる血管を調べる検査)という検査が必要になります。
椎骨動脈解離は、自然経過で改善することが多いのですが、中にはくも膜下出血や脳梗塞を引き起こすケースもありますので、必ず画像での経過観察が必要になってきます。
突然の強い後頭部痛がありましたら、MRIを早めに撮れる施設を受診してください。
心配がない後頭部痛とは?
慢性的な後頭部痛・ピリピリするような後頭部痛の場合は、基本的には心配ないことがほとんどです。
慢性的な後頭部痛の場合は、肩こりや首のこりが原因の緊張型頭痛がほとんどですので、緊急の処置は必要ありません。
ピリピリするようなら後頭部痛の場合は、大後頭神経痛という頭皮の神経痛です。
髪の毛を触っても痛む場合もありますが、大後頭神経痛も放っておいても自然に治ります。
最後に
突然の後頭部の痛みの中には、椎骨動脈解離という病態があることを、頭の片隅にいれておいていただければ幸いです。