椎間板ヘルニアとは?|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

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椎間板ヘルニアとは?|すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック|西荻窪駅・久我山駅

椎間板ヘルニアとは?

皆様、こんにちは。

すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニックの遠藤です。

今回は『椎間板ヘルニア』について解説していきたいと思います。

『椎間板ヘルニア』という言葉を、聞いたことがある人は多いかもしれません。

身近な病気で、知り合いが、ヘルニアになってしまったという話もよく聞くかと思います。

『椎間板ヘルニア』というと、腰に何かが急激に起こった!と考えている方も結構いるのではないでしょうか。

もちろん正解なのですが、その場合は『腰椎椎間板ヘルニア』と言って、頭文字に『腰椎』という言葉がつくのです。

実は、『椎間板ヘルニア』は、せぼねの全ての場所に起こりうる病気なのです。

椎間板とは?

せぼねは、首からお尻まで続いております。

せぼねは、それ自体が一つの骨でなく、レゴのブロックのように骨が何個も合わさっています。

一個一個の骨は、椎骨(ついこつ)と言い、この椎骨が、縦に積み重なって脊椎いわゆるせぼねを形成します。

下の絵の水色の部分が椎骨です。

そして椎骨1個1個はこのような形をしています。

 

では、椎骨と椎骨のつなぎ目はどうなっているのか?と言いますと、電車のつなぎ目に似ています。

電車のつなぎ目で、車両と車両をつないでいるのは、車輪近くの鉄の連結器ですが、その上のカーテンみたいな布(ホロといいます)を見たことありませんか。

まさにこの部分が椎間板なのです。

椎間板は、骨と骨のつなぎ目のクッションの役割をしています。

電車と同様しっかりした連結部は別にありますが、この部分がないと骨同士が当たってすり減ってしまいます。

また椎間板は柔らかい組織なので、体を動かすたびにちょうどいい具合に少しずつ変形して動きます。

それによって重力や体重による負担を分散させてくれるのです。

椎間板ヘルニアとは?

椎間板の役割がわかったところで、『椎間板ヘルニア』とはどういった疾患なのでしょうか。

ヘルニアという言葉は、

『体の中の何かが本来飛び出してはいけないところに飛び出してくる』

という意味です。

つまり『椎間板ヘルニア』は、椎間板が本来飛び出してはいけないところに飛び出してしまった状態なのです。

そして飛び出した先には神経があるため、飛び出した椎間板が神経を圧迫してしまうのです。

これが『椎間板ヘルニア』の正体です。

となると、椎間板がある場所つまり骨のつなぎ目には、すべてのヘルニアの危険が伴っているとも言えるのです。

せぼねのどの場所の椎間板がヘルニアになるかで名称が変わってきます。

せぼねの中の

首の部分を頚椎(けいつい)

背中の部分を胸椎(きょうつい)

腰の部分を腰椎(ようつい)

と呼びます。

したがって

首に起こる『椎間板ヘルニア』を『頚椎椎間板ヘルニア』

背中に起こる『椎間板ヘルニア』を『胸椎椎間板ヘルニア』

腰に起こる『椎間板ヘルニア』を『腰椎椎間板ヘルニア』

と言います。

この中で、一番多いのは腰椎であり、次に多いのが頚椎です。

胸椎に起こるヘルニアは頻度は非常に少ないです。

ここでは、頻度の多い、腰椎と頚椎における『椎間板ヘルニア』についてわかりやすく説明したいと思います。

腰椎椎間板ヘルニアとは?

腰椎つまり腰に発生する『椎間板ヘルニア』です。

『椎間板ヘルニア』の中で最も頻度が高い疾患です。

腰の椎間板が、本来あるべきところに収まらず、神経の通り道側に飛び出してしまう状態を言います。

 

腰に慢性的に負担がかかっている方に発生しやすく、20代から50代にかけての比較的若い方に多い疾患です。

症状は、代表的なものは、腰やお尻や足の激しい痛み・しびれです。

かなり強い痛みが特徴で、痛みで歩くこともままならないことも多々あります。

 

ぎっくり腰とのちがいは、足のしびれ(もしくは痛み)があるかないかで判断できます。

ぎっくり腰は足の症状は出ません。

まずこのような状態になってしまったら安静です。

軽症のヘルニアであれば、安静だけで改善します。

しかし痛みが我慢できないほど強かったり、歩くことができないようでしたら、病院に行くべきでしょう。

ただしどの病院でもいいわけでありません。

『椎間板ヘルニア』は、MRIという検査をしないと正確な診断ができません。

似たような検査でCTというものもあり、CTでもある程度は診断できますが、やはりMRIでないと不十分です。

そしてレントゲンでは全く診断できません。

レントゲンは骨や空気やガスなどは、写すことができますが、神経や内臓などは写すことができません。

ヘルニアも写りません。

ある程度症状から予想はつきますが、正確な診断をつけるためにはMRIを撮ることができる施設を受診する必要があります。

ちなみにMRIを撮るとこのように写ります。

赤い矢印の先が、飛び出したヘルニアです。

 

またMRIが撮れても、診断できる医師がいなかったら意味がありませんよね、

だから脊椎の専門医がいることも事前に調べておいた方がいいでしょう。

腰椎椎間板ヘルニアの治療

実は、腰椎椎間板ヘルニアの7割〜8割は自然に軽快します。

ヘルニアは比較的柔らかい組織なので、飛び出したものの、また引っ込んでくれることも多いのです。

ですので、それまでの間のつらい症状は、内服薬やブロック注射などで対処します。

内服薬やブロック注射を詳しく知りたい方はこちら

 

では、自然軽快しなかったケースはどうするのでしょうか。

一般的には2ヶ月程度の期間を待っても全く改善しないケースでは手術の適応と考えられています。

実際、私も発症から2、3ヶ月は手術以外の方法を勧めています。

この期間粘っても全く改善しないケースでは、今後も改善する可能性は低いため、その際は手術を勧めています。

また痛みが激しすぎて、全く我慢ができないといった状態の場合にも、早めに手術をすることもあります。

先ほど言ったように、多くの『腰椎椎間板ヘルニア』は、自然軽快するので、症状が我慢できる程度でしたら、手術は少し待った方がいいでしょう。

しかし、稀なケースですが、すぐ手術をしなければいけない状態というのがあるのです!!

腰椎椎間板ヘルニアですぐ手術をしないといけないケース

★尿が出づらくなった

膀胱という尿を貯めている臓器に腰からも神経が行っているため、ヘルニアによってその神経が障害を受けて尿が出づらくなることが稀にあります。

この状態が長く続いていると、仮に手術をしても尿が出づらい状態が治らず、ずっと続いてしまうのです。

そうなると自己導尿カテーテルという直接尿道に入れる管が手放せなくなり、著しく生活の質を落とす原因になってしまいます。

★足に麻痺が出た

麻痺というのは、痛みで動かせないのとは違います。

明らかに力を入れても動かせない状態を言います。

足の指が動かなくなったり、足首が曲げられなくなったりするケースがほとんどですが、足全体が動かなくなるケースも稀にあります。

この場合も早めに手術をしないと、生涯にわたって麻痺が残ってしまう可能性が高いです。

以上2つのケースは、緊急で病院を受診してください。

手術の具体的な方法などは、また別の機会でお話させていただきます。

頚椎椎間板ヘルニアとは?

首に発生する『椎間板ヘルニア』です。

椎間板が、本来あるべきところに収まらず、神経の通り道側に飛び出してしまう状態であることは、腰椎のヘルニアと同様です。

 

腰と同様、首に慢性的に負担がかかっている人に多く発症します。

格闘家やラグビー、アメフトの選手などに比較的多いとされています。

症状は、初期の段階では、首の寝違いとよく似た首の痛みで始まることが多いです。

その後に肩や腕、指に激しいしびれや痛みが起こってきます。

 

重症になると、両手の細かい動きができなくなったり、足に力がはいらなくなり歩行がしづらくなります。

治療は、基本的には腰椎のケースと変わりません。

『頚椎椎間板ヘルニア』も自然軽快するケースは多くあります。

何割の方が自然軽快するか正確な情報は出ていませんが、相当数いると思います。

内服薬は、腰椎椎間板ヘルニアと共通の薬です。

 

『頚椎椎間板ヘルニア』では、ヘルニアが飛び出る方向によっても、重症度が変わってきます。

頚椎の真ん中には、脊髄という神経のおおもとのような組織が通っています。

そしてそこから外側に向かって神経根という細い神経が何本も出ていて、腕や背中に向かっていきます。下の絵を参照してみてください。

ヘルニアが脊髄の方に飛び出るのか神経根の方に飛び出るのかによっても重症度が変わってきます。

この下の絵は、頚椎を輪切りにして上から覗いている状態と思ってください。

真ん中の青い部分が脊髄、上のピンクの部分が椎間板です。

左右の絵で、椎間板ヘルニアが飛び出る方向が違うのがわかりますか?

 

絵の下の方に棘突起と書いてある場所があります、

これは『きょくとっき』と読み、みなさまが首の後を触ると骨を感じる部分です。

絵だとこの棘突起の上に脊髄がありますが、輪切りで見ているので、実際のヒトの体では、棘突起の前方に脊髄があって、さらにその前方に椎間板があります。

この椎間板が飛び出るのが『椎間板ヘルニア』なわけですが、

椎間板ヘルニアが脊髄を外側にかわして神経根に食い込むのが神経根症(向かって左側の絵)

脊髄に直接食い込むのを脊髄症(向かって右側の絵)

と言います。

ヘルニアが神経根を圧迫する神経根症は、どちらか片側の腕に症状がでることがほとんどです。

神経根は細い神経なのですが、耐久性が強い神経で、ある程度のダメージなら時間が経つと改善することがほとんどです。

つまり神経根症と診断された場合、すぐには手術をしないで、まずは自然経過や内服治療で様子をみた方がいいでしょう。

痛みが激しいケースや急激に悪化するケースでは、手術を行う場合もあります。

経験的には神経根症で手術になる割合は7〜8人に1人くらいの印象でしょうか。

ヘルニアが脊髄を圧迫する脊髄症は、より重症になる傾向にあります。

脊髄は神経根よりはるかに太いのですが、非常に弱い臓器なのです。

全ての神経はまず脊髄から枝分かれして神経根になって体のすみずみまで行き渡ります。

つまり神経の親玉みたいなもので脊髄が損傷してしまうと首から下であれば、様々な症状が出てしまいます。

親玉のくせにダメージに非常に弱く、いったん傷つくとなかなか改善しないという特徴があります。

脊髄が損傷すると両手の動きが悪くなってきたり、体全体がしびれたり、歩行ができなくなってきたりしてしまいます。

そうなってしまうと自然での改善は望めませんので、早めの手術を検討します。

頚椎椎間板ヘルニアですぐ手術をしないといけないケース

腰椎椎間板ヘルニアと同様です。

尿が出づらくなった麻痺が出てきた(頚椎の場合は腕や手の麻痺が多いです)ケースです。

★尿が出づらくなった

膀胱という尿を貯めている臓器に向かう神経も、脊髄を通ってくるためヘルニアによってその脊髄が障害を受けて尿が出づらくなることが稀にあります。

この状態が長く続いていると、仮に手術をしても尿が出づらい状態が治らず、ずっと続いてしまうのです。

そうなると自己導尿カテーテルという直接尿道に入れる管が手放せなくなり、著しく生活の質を落とす原因になってしまいます。

★腕や足に麻痺が出た

麻痺というのは、痛みで動かせないのとは違います。

明らかに力を入れても動かせない状態を言います。

頚椎椎間板ヘルニアでの麻痺では、腕が上がらなくなったり手首が動かなくなるケースがほとんどですが、体全体が動かなくなるケースも稀にあります。

この場合も早めに手術をしないと、生涯にわたって麻痺が残ってしまう可能性が高いです。

以上2つのケースは、緊急で脊椎専門医がいる病院を受診してください。

今回は椎間板ヘルニアについてのお話でした。

椎間板ヘルニアでお困りの方は、ぜひ『すぎなみ脳神経外科・しびれ・頭痛クリニック』までご相談ください。